日立物流/SCMの構造転換で主導権を握る

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日立物流は2月8日、2018年度の状況と2019年度新中期経営計画の方向性について中谷康夫社長が説明した。

<日立物流の中谷康夫社長>

2018年度の状況については、2018年度第3四半期決算で、すべての項目で前年同期を上回り、会社の計画値もすべて上回る結果を残した。これについて、中谷社長は「新規受注と協創の成果が表れている」とし、海外地域の中国での売上高減については、「不採算事業を取り払ったもので、利益率は41%増になっている」と話した。

また、SGHとの協業については、通期計画に対する進捗率は3Q実績では売上高で60%、営業利益で65%と、若干後ろ倒しとなっているが、順調に進展しているとしている。

<スマートロジスティクス概念図>

2019年度新中期経営計画の方向性として中谷社長は「SCMの構造転換が始まる。SC(サプライチェーン)を担う事業者間のパワーバランスを崩し、SCの構造の転換を促す」と語り、情流、商流、金流、物流の4つの流れを束ねることが重要だとする。現在は熾烈な主導権争いが展開中だという。4つの流れはそれぞれの企業が得意分野としているが、物流事業者として先手を打ち、物流現場力に裏打ちされた競争力強化を目指すとしている。「物流の現場力のある我々が、ここでイニシアチブをとり、情流、商流、金流の競争力をつけて、SCMの構造転換にチャレンジしていきたい」と述べた。

そのための目指す姿として、従来からの「サプライチェーンのプロバイダー」という方向性は変えず、さらなる協創領域拡大について「グローバルサプライチェーンソリューションプロバイダー」を目指す姿に掲げている。それには、4つのキーワードである「シェアリングエコノミー」「AI・ロボティクス」「IoT」「フィンテック」を強化すること。2011年のKWE、2016年のSGH、2018年のAIT、日立キャピタルとの業務提携はその一環だ。

中谷社長は「主導権を握るためには、モノやサービス展開の土台となる環境(プラットフォーム)の構築が必要。その成功要件はまず早い時期に立ち上げること。優位性のあるアプリケーションをつくりだすこと。オープン化して幅広く多様な供給を募ること。参加者が享受できる価値・メリットを常に追及すること」、の4点を挙げている。

プラットフォームの一つに日立物流のスマート安全運行管理システム(SSCV)がある。ドライバーを事故から守り、労働環境改善のために、IoTテクノロジーを駆使し、事故ゼロ社会の実現を目指す「安全・安心のプラットフォーム」だが、これに、IoTテクノロジーをさらに活用して、安全・品質管理はもとより、車両リースや保険、整備、共同調達機能を付加したトータルソリューションパッケージとして、世の中の安全・安心プラットフォームの実現を目指す。

<柏プラットフォームセンター>

さらに、千葉県東葛地区に集中しているスポーツとシューズ拠点の集約・最適配置によるプラットフォームタウン構想では、柏市の物流施設でフォークリフトを使わない省人化推進、先端安全テクノロジー、現場作業・人員の適正化、WVS(現場可視化システム)を導入し、保管効率20%アップ、20%の省人化を達成している。

また、EC向けプラットフォームでは、「スマートウェアハウス」を掲げ、複数顧客で省人化設備、システム、スペース、人を共用する物流センターを目指す。現在、埼玉県の春日部物流センターでその準備を進めている。ここでは、従来の人手作業で必要だった117人を計画では33人として、72%減を計画している。無人店舗のテクノロジーを倉庫オペレーションに実装し、例えば、商品を手に取るだけで検品完了できるように、技術開発に挑む。

ただ、日立物流が考える物流技術の将来像は、先端技術一辺倒ではない。新たな構造改革として、先端技術で効率性と柔軟性を両立する人に優しい物流を目指す。そのためには、人の問題をクローズアップし、相互共有の場、考える時間創出、知識(情報)の提供を会社が果たし、活動として、職場懇談会、断捨離運動、教育活動・施策事例共有を図る。そして、各人が自立的かつ継続的に成長する組織づくりを目指す、としている。

なお、海外事業については「欧州、北米、アジア、中国の4極で展開しているが、マレーシアでは拡大するコールドチェーンニーズに対応し、昨年11月に稼働したニライチルドセンターに続き、2期棟計画をスタートしている。2020年度に開設予定。また、インドでも、ロジスティクスパーク構想、輸送ネットワーク構想を進めており、海外投資については、積極的に行っていきたい」と抱負を語った。