気分はペリー? 横須賀市、海上から歴史遺産巡りを企画

 神奈川県横須賀市は地元の旅客船運航会社と連携し、久里浜-浦賀間を結ぶクルーズを新たな集客の目玉に育てようと取り組んでいる。黒船艦隊を率いて浦賀沖に姿を見せ、久里浜に上陸したペリー提督になりきり、船上から海沿いの歴史遺産を巡るクルーズを企画。6日には旅行ツアーの一部に加えてもらうため、全国の旅行会社を招いた視察会を開いた。

 視察会には東京、埼玉、大阪などから14社が参加した。社員らは旅客船運航会社「トライアングル」のクルーズ船で、久里浜港から浦賀港を1時間ほどかけて往復。江戸時代に灯台の役割を果たした「燈明(とうみょう)堂」、江戸幕府の命を受けて米国の商船「モリソン号」を砲撃した千代ケ崎砲台跡、約千隻の船を建造し、今は閉鎖されている住友重機械工業旧浦賀工場(通称・浦賀ドック)のドライドックなどを海上から見て回った。

 クルーズ中、ガイドが「(浦賀湾口の)入り口が狭いため、ペリーは港ではなく、川と思ったそうです」などと歴史も紹介し、参加者らを楽しませた。

 旅行会社「クラブツーリズム」(東京都)の谷勝聡さん(37)は「個人では行けない場所にある歴史的建造物を、ガイドの案内で見学できるのは希少価値がある。需要が高く、ぜひツアー化したい」と話した。

 参加者は他に、津久井浜海岸でプロ選手からウインドサーフィンを教わったり、地魚を味わったりもした。また視察会終了後には、参加企業と、観光施設や飲食店など地元の17事業者との商談会も開かれた。

 市は「今回を機に、旅行会社と市内事業者との連携が強まり、横須賀へのさらなる集客につながれば」と期待している。

クルーズ船上から、浦賀ドックを撮影する参加者=6日

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