定数減らし報酬増 県内4市村議会 議員なり手確保狙い

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地方議員のなり手不足を解消しようと、県内で議員定数を削減する代わりに議員報酬を増額する議会が出ている。茨城新聞の調べによると、「定数減・報酬増」は近年、県内で4市村議会に上る。少しでも生活が安定し、子育て世代といった若年層が立候補しやすい条件にする狙いだ。議会自ら身を切る策だが、専門家は「議員報酬を上げるだけでなく、議会活動の内容や議員のやりがい、役割を市民に伝えることが重要」と指摘する。 (ひたちなか支局・斉藤明成、行方支局・石川孝明)

■村民感情に配慮
支給額36万7千円、差引支給額27万8500円-。ある東海村議の給与支給明細書だ。「若い人たちには気の毒で、立候補をお願いできない。副収入のない人なら、なおさらだ」。この村議は明細書を見つめ、打ち明けた。

議員の定数と報酬は各自治体で定められている。若手議員のなり手を確保しようと、同村議会は昨年12月の定例会で、定数を2人減らす一方、報酬を月額2万円引き上げる条例案を可決した。来年冬予定の次期村議選から適用する。定数は20人から18人、月額報酬は一般議員で36万7千円から38万7千円になる。これにより全議員の報酬総額は1人分程度の減。支出を少なくし村民感情に配慮した格好だ。

同村議会の年齢構成は20代が1人、30代はゼロ、残りは40〜70代。昨年4月現在で平均年齢は60.6歳。前回2016年の村議選は立候補者22人で、定員2人オーバーにとどまった。同村議は「報酬を上げることに抵抗はあるが、次の世代のために環境をつくるのも現職の役割」と語る。

■周辺参考に増額
行方市議会も昨年9月の定例会で、定数2人減と報酬増額を決めた。当時、県内最低の議員報酬だった同市議会は、一般議員で月額3万9千円引き上げ、同28万8千円となった。鈴木義浩議長(55)は「議員報酬だけで生活するのは厳しい。将来的になり手不足の問題が出てくるだろう」と述べる。

本紙の調べによると、県内では同様の趣旨で那珂、小美玉両市議会も15、16年に「定数減・報酬増」を決定した。

増額幅について、これら4市村議会は周辺や同規模自治体を参考にしている。

■あるべき議会像
こうした動きについて、地方自治に詳しい常磐大の吉田勉准教授は「議員定数と報酬をセットで考えるのは危険。安易に定数を減らせば、多様な住民の声を吸い上げることが困難になる」と危惧する。報酬増額の効果にも懐疑的で、例として長崎県小値賀町議会を挙げる。

同議会の議員報酬は月額18万円で、同県内でも最低ランクだ。若手のなり手確保策として、50歳以下は同30万円に引き上げる条例を15年3月に成立させた。しかし、翌4月の統一地方選で実施された同町議選は定数8人に対し、立候補者は9人にとどまった。最年少も57歳で、条例の対象者はおらず、結局、18年3月に条例は廃止になった。同議会事務局の担当者は「お金目当ての立候補との批判が町民からあり、かえって若手が出にくくなった」と明かす。

吉田准教授は議員報酬の在り方について、「議員に政策提案まで求めるのか、それとも執行部提案を慎重に吟味することを基本にするのかなど、自治体ごとにあるべき議会像を議論し、それにふさわしい金額として報酬に根拠を持たせるべき」とした上で、「議会活動や議員のやりがい、役割を市民に見せていくことが重要」と強調する。