ランボルギーニ ミウラSV、大破した個体のシャシーを引き継いで復活

ランボルギーニ ミウラ

数奇な運命を辿ったミウラがレストアで復活

2019年2月6日~10日にパリで開催されたクラシックカーの祭典「レトロモビル」に、ランボルギーニ・ポロストリコが特別な赤のミウラ SVを出展した。

ポロストリコによって完全レストアされたこのミウラ SVのオーナーは、自動車業界の重鎮でFIA(国際自動車連盟)の現会長を務めるジャン・トッド氏。このミウラをオーナーに引き渡すセレモニーがイベント中にランボルギーニ・ポロストリコの出展ブースで執り行われ、アウトモビリ・ランボルギーニの会長兼CEOステファノ・ドメニカリ氏からオーナーのジャン・トッド氏に、直接キーが戻された。

シャシーナンバー3673を“引き継いだ”特別な一台

ランボルギーニ ミウラ

このミウラ SVは1972年11月11日に完成した後、以前事故で廃車となった1968年製ミウラSのシャシーナンバー3673を引き継いだ。当時は、一部の国で課せられる、新車を対象とした極端に高い輸入税から買い手を保護するという経済的な理由や、同じナンバーで以前の車両登録や関連書類を引継ぐ実用的な理由から、スーパーカーメーカーがシャシーナンバーを再使用することは特に珍しいことではなかった。

シャシーナンバー3673のミウラ SVは、Rosso Corsa(赤)の車体下部のみ金色、黒レザーの内装で、最初のオーナーであった、南アフリカのMr. Mecin氏の下に1972年に届けられた。それから47年ポロストリコのレストアを経て、まったく同じ姿、完璧なコンディションになって戻ってきたという経緯を持つ。

13ヶ月を費やしたレストアでは車を完全に解体し、フレーム、ボディ、内装に付けられた印から、各種部品に記された番号や日付まで細部にわたり確認。また、ランボルギーニが保存する製造資料との突き合わせまで徹底された。

このミウラ SVがレストアのためにサンタアガタ・ボロネーゼに到着したとき、完全な状態とは言え経年劣化で生じる摩耗や損傷がはっきりと見て取れた。ポロストリコの技術者は最大限オリジナルに近い状態で保全するという理念に忠実に従い、交換ではなく「修理」と「復元」を優先したという。

レトロモビルではこのミウラ SVと共に、1966年製のランボルギーニ 400GTも展示された。カナダ人コレクターが所有するシャシーナンバー0592のこの個体は、現在ポロストリコで全面的なレストア作業を進行中だ。

ランボルギーニ・ポロストリコとは

2016年に設立されたポロストリコは、ランボルギーニのクラシックカーを対象とする専門の社内部門で、2001年までに生産された350GTからディアブロまでのランボルギーニ車のレストアと認定を行っている。

また、ランボルギーニのクラシックカー用のスペアパーツの復元も担当し、2018年だけでも200以上の部品を新しく製造。クラシックカーを製造当時に近い状態で安全に乗車することが可能だという。

加えて、過去のノウハウを活用してランボルギーニのクラシックカーを可能な限りオリジナルに近い状態に維持するため、生産に関するファイルやモデルのデザイン等のアーカイブ資料の管理も行う。

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