若手による多様な現代美術 国立新美術館「21st DOMANI・明日展」

 若手芸術家の海外研修を支援する文化庁の制度を利用し、研さんを積んでいる美術家10人の成果を発表する「21st DOMANI・明日展」が、東京・六本木の国立新美術館で開催中だ。各自の視点から現代を切り取った作品が並ぶ。

 「ヨコハマトリエンナーレ2017」の出品作家だった川久保ジョイは、2017~18年に英国で研修。今回は原子力と科学をテーマにした作品が並ぶ。色鮮やかな写真は、放射線が検出される福島県の地中にフィルムを3カ月埋めてプリントしたもの。アルゼンチンの作家ボルヘスの小説を基にした映像作品「永遠の六日後に(第一部)」は、自身の語りによって断片的なSFの世界が広がる。

 ゲスト作家の三瀬夏之介は、平塚市美術館やKAAT神奈川芸術劇場でも紹介された「日本の絵」シリーズを展示。和紙をコラージュのように継ぎ足し、墨などで描きこまれた“日本の自画像”の中には、爆発、飛行機、富士山などが判別できる。避難指示区域を示す同心円が描かれた日本地図が逆さまにつられ、日本社会の現状を問う。

 他にパラパラ漫画の原理によるアニメーションや白磁の陶芸品など、現代美術の多様さを紹介している。

 3月3日まで。火曜休館。一般千円、大学生500円。問い合わせはハローダイヤル03(5777)8600。

三瀬夏之介の作品が並ぶ一角=国立新美術館

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