日産、通期純利益45%減へ ゴーン被告報酬92億円計上

 日産自動車は12日、2019年3月期の連結業績予想を下方修正し、純利益を5千億円から4100億円に引き下げたと発表した。前期の実績と比べ45.1%減となり、33.1%減としていた従来予想から減益幅が拡大する。主力市場の米国で販売台数が予想を下回ったことに加え、会社法違反(特別背任)などの罪で起訴された前会長カルロス・ゴーン被告の確定報酬分として、92億3200万円を追加費用として一括計上した。

 

 ゴーン被告が昨年11月に逮捕されて以来初の決算発表。長引く事件でブランドイメージが低下し、企業連合を組む仏自動車大手ルノーとの信頼関係も揺らぐ。さらに国内では新たな検査不正も追い打ちをかけ、業績への影響の長期化が懸念される。

 

 売上高の連結業績予想は前期比2.9%減の11兆6千億円(従来予想は12兆円)、営業利益は21.7%減の4500億円(同5400億円)にそれぞれ引き下げた。米国や欧州などの落ち込みを要因に通期の世界販売台数も下振れるとして、前期比17万台減の560万台と、期初に計画した592万5千台から下方修正した。

 

 横浜市西区のグローバル本社で記者会見した西川広人社長は販売台数が8.6%減少する米国について「市場はピークアウトしており、今後さらに厳しくなる」との見通しを示した。一方、主力市場の一つである中国は、販売台数が2.9%増えるものの従来見通しに届かず、「踊り場にきている」と述べた。

 

 日産は今回、ゴーン被告の確定報酬分の追加費用を一括計上したが、有価証券報告書に記載していなかった報酬の支払いを凍結する方針を固めている。西川社長は「私としては支払いをするという結論に至るとは思っていない」との見解を示した。

 

 また、日産が同日発表した18年4~12月期の連結決算は、売上高が0.6%増の8兆5784億円、営業利益が13.9%減の3137億円、純利益が45.2%減の3167億円だった。

横浜市の日産自動車本社

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