平和祈念像、旧グラバー住宅工事中 観光客「残念」

 長崎観光の目玉である平和祈念像と、世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」を構成するグラバー園内の「旧グラバー住宅」の修復などの工事が並行して進んでいる。長崎ランタンフェスティバル(5~19日)と重なり、県外からの観光客からは「両方とも見られない」と残念がる声も聞かれる。長崎市によると工期は、平和祈念像は3月、旧グラバー住宅は来年11月までの予定。

 松山町の平和公園。劣化している平和祈念像の塗装補修のため、作業員が塗料の飛散防止のシートをかぶせている。12日午前、像の前面も覆われ、四方が完全に見えなくなった。

 南山手町の旧グラバー住宅は内部に入れない。工事の進捗(しんちょく)が確認できるよう、住宅の周囲に見学用デッキの設置作業が進む。

 北九州市から訪れた会社員の男性(26)は「長崎のランドマークがどちらも見られなくて悲しい。楽しみにしていたのに」と肩を落とした。鳥取県の女性(68)は「見られないのは本当に残念。どちらも工事中という情報を知っていたら、違う場所を計画したかもしれない」とうつむいた。

 なぜ、県外から多くの観光客が訪れるランタンフェスの時期に工事をするのか。平和祈念像の塗装補修について、長崎市地域整備1課は「像の金属の状態が安定し、塗料も蒸発しにくい寒い時期にするのが適している。3月後半からは気温が暖かくなり、観光客も増えてくる」と説明。観光客に配慮し、祈念像の写真をシートの前面にかぶせる工夫をした。13日から本格的に塗装作業に着手。同課は「3月中旬から像を覆うシートを剥がしたい」とした。

 旧グラバー住宅の保存修理工事について長崎市文化財課は「国の補助事業としての都合もあり、工期はどうしてもこの時期になった」としている。3月までに住宅を全てシートで覆う。工事を見学できるよう一部を透明のシートにする予定という。

塗料の飛散防止のため、シートで覆われた平和祈念像=長崎市、平和公園
保存修理工事を進めているグラバー園内の「旧グラバー住宅」=長崎市、グラバー園

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