被爆地訪問 各国に要請 長崎、広島両市長 6月のG20参加首脳

 田上富久長崎市長と松井一実広島市長は12日、都内にある主要8カ国の在日大使館を訪問し、6月に大阪で開催される20カ国・地域(G20)首脳会合に合わせて首脳らに被爆地を訪問するよう要請した。米国とロシアには中距離核戦力(INF)廃棄条約の撤廃を巡る動きに関して、条約維持を求める要請も出した。
 INF廃棄条約の維持の要請は「代替措置なしに条約が撤廃されれば核兵器使用のリスクが高まることが危惧される」とし、理性に基づく対話と努力を重ねて信頼関係を築くよう求めた。
 大使館訪問後、報道陣の取材に応じた両市長によると、被爆地訪問については各国とも「本国に伝える」と応じたが、スケジュール的に厳しいとの見通しもあったという。
 INF廃棄条約に関しては米国から「(核兵器のない世界に向けた)方向性は同じ」「対話は継続していく」などの言及はあったが、ロシア側に問題があるとの認識だったという。田上市長は「核軍拡に進むのは被爆地にとって大きな問題。超大国が責任を持って核軍縮に向かうということを示してほしい」と話した。
 他のG20参加国や招待国には両市職員が要請文を届けたり、郵送する。

© 株式会社長崎新聞社