日ハムの木田投手チーフCに直撃 金子弌大、斎藤佑、吉田輝らどう見る?

斎藤佑樹の投球練習を見守る日本ハム・木田優夫投手コーチ(左)【写真:盆子原浩二】

昨季までGM補佐、投手チーフコーチを引き受けたのは「GMから…」

 今季から日本ハムの投手チーフコーチを務める木田優夫氏をキャンプ地のアリゾナ州スコッツデールで直撃した。昨季までGM特別補佐を務め、2017年ドラフトでは7球団が競合した清宮幸太郎内野手の交渉権を引き当てたことも話題に。しかし、今季からはユニホームを着て、栗山英樹監督を支える立場となった。

 昨季ブレークした上沢直之投手、新加入の金子弌大投手、9年目での復活を目指す斎藤佑樹投手、そして、鳴り物入りで入団したドラフト1位ルーキーの吉田輝星投手……。2016年以来のリーグVへの鍵を握る投手陣について、“新任”コーチが語り尽くした。

――まずは新しく投手コーチになられての意気込みをお聞かせください?

「意気込みというか、優勝するためにピッチャーがどうなったらいいのか、それが一番だし、ピッチャーそれぞれの……彼らの野球人生がどうなっていったら良いのかというのを一緒に考えていければ良いんじゃないかなと思ってるだけです」

――日本での現役、海外でのプレーも経験されて、さらにフロントオフィス等、すべてのことを経験されて、そのことがやはり活きてくるのではないかと思いますが。

「それが活きるのかどうなのか僕にはわからないですけど、ただまあ今回ピッチングコーチをやる中で、現役の選手の時とかいろんなところで僕が学んだこと、これから僕が学んでいくことしか選手には伝えていくことしかできないんで、だからその中で何が役に立って何が役に立たなかったのかということは現時点では僕にはわからない部分もあるし、ただ全力で選手にチームが優勝するためにピッチャーそれぞれのために全力でやっていくということだけなんで、それ以外は分からないです」

――「投手コーチを」との声がかかったのはいつ頃だったのでしょうか?

「去年のシーズンが終わるときですよね」

――躊躇なく引き受けることにされたのですか?

「躊躇なくじゃあなくて……まあGMからね、『来年ピッチングコーチをやれ』と言われて。『来年ピッチングコーチだから』って。GMから『考えて』と言われたので、『じゃあ考えて返事して、でいいんですか?』って言ったら、『それはだめだ!』って言われたんで。だから躊躇とか何もなく……『やれ!』って言われたからやることになっただけです(笑い)」

――実際にコーチとして投手陣を見てきて、実戦が始まった現在においてどのように感じられているでしょうか?

「とりあえず大きなケガがなくて、元々リハビリでこっちに一緒にキャンプに来ているピッチャーも含めて、大きな遅れっていうのが今のところないので、そのへんは良いなぁ、ピッチャーそれぞれ頑張ってくれてるなぁと思います。本当に慣らしの実戦なので、その中で僕らが『こういうことをやってほしい。こういうことできてるかなあ』とか、そんなの実際に見ていくのはやっぱり日本に帰ってからになると思うので……。今のところは大きな遅れがないということだけで十分だと思うんですけどね」

新加入の金子弌大は「本当に日本を代表する投手」

――上沢投手についてはどのように?

「上沢に関しては、去年1年間ローテーションで投げたピッチャーですから、まあ当然今年もね、同じように1年間ローテーションで投げてほしいなぁとは思ってます」

――有原投手に対しては?

「有原は逆にケガとかあって、1年間ローテーションで投げられなかったので、今年は1年間ローテーションに入って投げ続けるということをしっかりやってほしいなあと思っています。そういう話は本人ともしてますけど」

――堀投手に対しては?

「堀はこれからいろんなことを覚えなければいけないことがたくさんあるピッチャーなので、それをやっていってくれれば良い。1軍で何試合とか1軍で何勝とか、そういうことは別に期待は……期待はもちろんしているのですが、そういう計算はしてないですね。堀の場合はまだまだ彼自身が、将来的に日本を代表するようなピッチャーになるために、どういうことをしなきゃいけないのか」

――先発ローテ争いは駒が揃ってて厳しいものになると思われますが、そこに金子投手が入ってきました。どのような期待をされているのでしょうか?

「金子はもう本当に……本当に日本を代表する投手なので、彼が健康で投げてくれればファイターズの勝利に貢献することは間違いないと思ってますし、それをやってくれれば良いなぁと思ってるんですけど。その中で今まで彼がファイターズに入ってきた時から、監督とかが(話して)彼の起用法についていろんな話題が出てますけど、彼も日本を代表する投手ですけど、そういった登板の仕方とかで新しい金子弌大というピッチャーを、まだまださらに大きく創り上げるピッチャーなので、それを一緒にやっていけたら良いなと思います。それがファイターズが優勝するための近道でもあるんじゃないかと思っているので、そのへんはもう新しい金子弌大というピッチャーを彼自身が創り上げてくれたら良いなぁと思っています」

――ベテランの域と言うんでしょうか、プロ野球でホールドの記録を持つ宮西投手についてはいかがですか?

「宮西は今リハビリ中なので……でもそれを彼がしっかりやってくれれば、また1年間たくさんの試合に投げてくれるはずなので、その準備をこの2月、3月でしっかりやってくれれば良いと思っているのでそれだけです」

30歳の斎藤佑には「自分がどうやって成長していくかってことに集中しなければ…」

――斎藤投手についてはどのように?

「さっき言ったように、今アリゾナに来ていないピッチャーも含めて彼ら全員に言っているのは、2月1日のキャンプインのときの自分よりもシーズンが終わった時の自分が、何かどんなことでもいいから1年こういうことで成長したな、と思えるようなシーズンにしてもらいたい。その手助けを僕らが全力でやるので。だから、斎藤に関しても、もう30歳になりましたし、勝負の年だとは言われているとは思うし、自分もそう思っているかもしれないですけど、プロ野球選手だったらその勝負も含めて1年1年、自分がどうやって成長していくかってことに集中しなければいけないと思うので。本当に斎藤に限らずみんなそういう気持ちでキャンプから試合から全部集中してやってもらえれば……やってほしいなあと思っているだけです」

――それと沖縄で頑張っている新人の吉田投手についてはどのように?

「まだプロ野球のことは何もわかってないので。確かに能力的には、これもいろんなところで出てますけど、僕が4年間GM補佐としてスカウティング活動していた中で、4年間たくさんの高校生を毎年見ました。その中で……4年間の高校生のピッチャーの中で一番ストレートが、いいストレートを投げているピッチャーだと思っているので、そういった能力的には問題ないと確信して、当然ドラフトで指名しているのですけど。それでもまだプロ野球っていうものはまだ何もわからないし、一番気をつけてほしいのは1年間、野球の試合を続けるというのが大変なことだっていうのをまず学んでほしいので、今日良くても来週投げれなかったら元も子もない。そういうのを学んでほしい。だから、彼だけじゃなくて柿木とか福田とか、キャンプ前に故障しちゃった生田目とか新人のピッチャーにはみんな、基本的には1年間故障しないで野球をやるってことをまず心がけてほしいってのを言っているので。吉田に関しても今年1年、1軍だろうが2軍だろうがどこでもいいので、とにかく1年間ケガしないで野球をやってくれれば、プロ野球ということを少しわかってくると思うので。勝負はそこからだと思いますね」

――この豊富な投手陣をどのようにまとめていこうと思われていますか?

「このチームは僕がまとめていってというよりも、栗山監督が作るチームなので、栗山監督がこういう方法でこういう方向で勝負していって優勝するんだと示してくれたものに、ピッチャーがみんな同じ方向に向かって全力で野球できるように僕らが助けていってあげられれば良いなと思っているだけなので。まとめるというより、本当に選手それぞれが自分の能力を本当に発揮してくれれば優勝できると思うので、その手助けをしたいなあと思っています」

――日本ハムはダルビッシュ投手や大谷選手のように、世界に飛び出していった選手たちを輩出しています。今、そこを任せられた楽しみがあるのではないでしょうか?

「ダルビッシュ、大谷というのは日本球界の中でも特別な存在だし、僕自身(にとっても)大谷というのは本当に今までなかった存在ですし、ダルビッシュは今でも僕がプロ野球に携わるようになってから出会った日本人のピッチャーの中ではナンバーワンだと思っているので。彼らみたいな選手はなかなかいない。ただ、本当にそういう先輩、後輩だったチームメートがいたということも含めて、本当にもっともっとそれぞれのピッチャーが上を目指したやっていってくれたら、僕らも楽しいし、ファンの人も楽しいし、本人も楽しいと思うので、そうやってみんなが楽しんでくれればいいなあと思います」(盆子原浩二 / Koji Bonkobara)

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