【津川哲夫の2019私的新車チェック:ルノー】インテーク開口部など冷却容積拡大に見えるパワーユニット性能&信頼性向上の狙い

 イギリスのファクトリー、エンストンから送り出されたルノーR.S.19。今年もまた、昨年からの基本コンセプトが継承されている。

 ルノーの開発ポリシーは革新を取らずに通常開発の継続のため、R.S.19はR.S.18のスムースな発展型となった。サスペンションアームを含む外装の全体像はR.S.18のまま。規則で低められたが、モノコックから抱え込むように輪を造るバージボードはルノーの個性として継承されている。

 新レギュレーションに対処してフロントウイングはシンプルな形状で、空気流を車体中心側に引き込む努力がフラップの曲率に現れている。

 また、サイドポッドのインテークは開口部形状を大型に変更、インタークーラー等の冷却系の容積の拡大によって、新パワーユニット(PU)/エンジンのパフォーマンスの向上が考えられる。

 エントリーダクト下部のアンダーカットは深くなり、ポッドサイドも形状は旧型に似るが、低く薄くが徹底され、新大型リヤウイングへの空気流確保に努力が感じられる。新規則のエアロで両サイドへの掃き出しが難しくなり、空気流の処理にフロア上面の役割が昨年以上に増した結果だろう。

 元々レーキ(前傾)角は大きなルノーだったが、R.S.19ではそれが強調されている。サイドポッドがコンパクトになったことで、新PUへのラム圧確保、MGU-H、MGU-K 等ERS(エナジー回生装置)関係の冷却での信頼性向上などを狙っているのだろう。その結果として、インダクションポッドのダクト体積が増し、より多くの空気流の導入が狙われ、センタークーリングへの比重が増したようだ。

 R.S.19は緩やかだが地道な進化を狙ったもので変化は少ないが、昨年同様トップ4の維持とレッドブル追討がR.S.19に課せられた責務だが……果たして。

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