新旧レッドeタップを比較試乗!

楽になるためじゃない、軽く速くなるための12速

見た目がかっこいい! しかも無線変速で左右レバーのシフト操作なんてレーシングカーみたいだ! そんな子供っぽい理由で、初代レッドeタップの登場後すぐに購入した私。やはり新作もかっこいい。男心をくすぐるいかにもレースパーツという演出がすてきだ。前作よりもロゴの主張を抑え、削り出しでアウターインナーが一体になったチェーンリングなどによりすごみが増した。

そんな新型レッドeタップの見た目に心躍らされ、発売まもないキャニオン・エアロードCF SLXディスクで、三浦半島のアップダウンのある道を60kmほど走ってみた。

シフトスイッチのクリック感はやや変わった。前作は「カチカチ」したいかにもスイッチという操作音だが、新作は「コクッコクッ」とやや静かになり、上質なタッチに。ただ個人的にはスイッチ形状を面取りをする細かなアップデートも欲しかった。

変速動作はあきらかにスムーズになった。リヤは「カシャンカシャン」と、隣のギヤへ脱線していくというよりスムーズに〝乗り換えて〟いく。脚に伝わる変速ショックも和らいだ。それよりも驚かされるのは、フロント変速の進化。チェーンリングはがっちり感もあって、ペダリングのどこからでも、どんなケイデンスでも変速する安心感がある。そして薄く作られたチェーンの作り込みも目を見張るものがある。耐久性は問題ないとするが、長期使用での結果には興味が出た。

リヤディレーラーのバッテリーフードの根本がリプレイサブルになったのは大きく評価したい。落車時はバッテリー周辺が傷つきやすい。バッテリーマウントがアルミの本体に直結されていると、おいそれと交換するわけにはいかない。旧作における不安なポイントだったので、この改善は歓迎できる。

ブレーキは、制動力がよりリニアな立ち上がりとなった。シマノよりもカンパニョーロに寄せたフィーリング。効きすぎないというか、リムブレーキからの乗り換えであっても制動のイメージにズレは生じにくいのではないかと感じた。ただ、エアロローターは個人的に否定派だ。リムのハイトが上がるのとはまた異なる、ホイールの中心を横風で持っていかれるようなハンドリングの違和感がある。まだ慣れないせいだろうか……。

リザーバータンクを内蔵した巨大なブラケット形状は、先代が登場した当初はしっくりこなかったのだが、今はだいぶ見慣れてきた。むしろエアロポジションでは便利なくらいだ。

新型の注目点であるギヤレシオは、アウターギヤが50Tなので、上りの緩斜面はフロント変速を多用せずこなせる。一方でリヤのトップギヤは10Tなので、下りで足りないこともない。歯数の小さなギヤ同士を駆動させるので、チェーンのアールがきつくなるため抵抗は増すかと予測したが、それは思いのほかスムーズであった。チェーンピンの大径化が効いているのかもしれない。

今回試乗したモデルはディスクブレーキだが、リムブレーキ仕様もあるので、手持ちのフレームを生かしたコンポの乗せ換えも検討できる。ただホイールのフリーボディがXDRへ換装可能かによって掛かる費用は大きく変わるので、この際ディスクロードデビューのために、完成車を選ぶのもアリかもしれない。

新旧パーツ比較

12速、無線、1×、2×、MTBミックスコンポ 新型スラム・レッドeタップ登場!

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