まるで映画の世界!”世界一美しい散歩道”ミルフォードトラックの全貌とは 世界一美しい散歩道と称されるミルフォードトラック。山好きな方なら、一度は耳にした事があるのではないでしょうか?世界中のトレッカーを引き付ける魅力とは何か?見ごたえのある景色や見どころなどを、実際に歩いてきた感想を交えてご紹介します!

”海外登山初心者”にもおすすめ!世界一の美しい散歩道とは?

(ルートバーン・トラック)

日本には美しい景色を見せてくれるトレッキングコースが数多くあります。そして、日本だけでなく世界中にも実に多くの絶景コースが存在します。
東アジア最高峰の玉山やキリスト教三大巡礼地のサンティアゴ・デ・コンポステーラ、世界一の山を眺めるエベレスト街道など、あげればキリがないほど多くの絶景スポットが。日本で見る絶景とはまた違った、海外ならではの壮大な景色を楽しむことが出来るのが最大の魅力です!

(ヒドゥンレイク付近)

その中でも今回紹介するのは、「世界一美しい」と称されるニュージーランドのトレッキングコース、ミルフォードトラック
”グレート・ウォーク”と呼ばれるニュージーランドのコースの中でも人気No.1の場所。全長53.5km、3泊4日をかけて踏破する初~中級者向けのコースです。

原始の森や氷河に削られた壮大なスケールの大自然。絶景を自分の足で歩き抜く達成感は、他ではなかなか味わえません!

グレート・ウォークとは?
ニュージーランドにある、環境保全省(DOC)が設定した9つのトレッキングコースのことをいいます。日帰りで楽しめるコースから3~5日ほどかけて踏破するコース、さらに難易度も初心者向け・中級者向け、と、実にさまざま。世界中のトレッカーの憧れる場所とあって、常に登山者で賑わう人気のトレッキングコースです。

これぞ世界一の美しさ!ミルフォードトラック、3つの魅力

(マッキノン・パス)

なぜこんなにも世界中のトレッカーを引き付けて止まないのか。そこには世界一美しいと言われるだけの息を呑む絶景が広がっています。

魅力①:見どころしかない…最初から最後まで続く絶景!

(テ・アナウ湖)

トレッキングのスタート地点に向かう船上から、すでに絶景は始まっています。氷河によって削られたフィヨルドの風景は日本では見られない素晴らしさ!

(ドアー・パス)

青と緑のコントラストが美しいドアー・パス。初日のコースを1時間ほど歩くと見る事が出来ます。ミルフォードトラックでは、いたるところにこんな景色が!

(マッキノン・パス)

ミルフォードトラックの最高地点、マッキノン・パスから望む絶景。標高は1,154mとそこまで高くはありませんが、目の前にそびえ立つ山々に圧倒されます。

(ミンタロ・ハットまでの道中)

雨が降ると無数に出現する滝。ミルフォードトラックは雨天こそ最大限の魅力を感じられると言われる所以の一つです。

魅力②:ここでしか出会えない希少な野生動物たち

(ケア)

南島のみに生息する山岳オウム、ケア。厳しい環境を生き抜くため頭が良く、いたずら好きでも有名。ハット(山小屋)に遊びに来ては登山道具を持ち去ることも。靴がなくならないようご用心!

(ロビン)

ニュージーランドの固有種、ロビン。コース内ではよく見かけますが、実は絶滅危惧種。人懐っこく、時には先導してくれるような姿に何度も癒されます。

魅力③:まるで映画の世界!太古の森を守る植生

(ロアリング・バーン付近)

シダやコケが生い茂る原生林。太陽の光が差し込んだ瞬間は、思わず見入ってしまう美しさ。

(ロアリング・バーン付近)

苔好きにはたまらない光景が一面に広がります。何度も立ち止まり、なかなか歩が進みません。

ミルフォードトラックの歩き方

現地に着いたら必ず立ち寄るDOC、必要な情報はここで手に入ります。当日までの動きやスタート地点へのアクセス、実際のコースをご紹介します!

スタート地点グレード・ワーフまでの行き方

(テ・アナウDOC)

玄関口はテ・アナウという町。着いたらまずDOCへ。スタートの2日前以降~前日までに、ハットパスを本人が受け取る必要があります。注意事項の説明を受け、地図をもらいましょう。当日はテ・アナウからバスと船を乗り継いでスタート地点に向かいます。

(グレード・ワーフで靴の消毒)

船を降りたら靴を消毒。環境保護の為、外来種を持ち込まない配慮が徹底されています。入国審査でも靴はチェック対象。

3泊4日のコースを紹介

個人で行くかガイドを使うかで日程は変わってきますが、今回は個人で行く場合のコースを紹介します。

距離:

  • 距離: コースタイム
  • 1日目: 約5km
  • 2日目: 約16.5km
  • 3日目: 約14km
  • 4日目: 約18km

コースタイム:

  • 距離: 難易度
  • 1日目: 1時間30分
  • 2日目: 6時間
  • 3日目: 6~7時間
  • 4日目: 6時間

難易度:

  • 距離: 体力度
  • 1日目: 初級
  • 2日目: 初級
  • 3日目: 初級
  • 4日目: 初級

体力度:

  • 距離:
  • 1日目: 初級
  • 2日目: 初~中級
  • 3日目: 中級
  • 4日目: 中級

参考:ミルフォードトラック コースMAPより
コースの工程は3泊4日。2、3日目に歩くコースにはアップダウンが集中していますが、他はほぼ平坦。高度が変わるにつれ様変わりする景色を終始楽しむことができます。
特別は技術が必要な場所はありませんが、歩行距離が長いので体力をつけ万全な体調で臨みましょう。ここからは実際のコースや見どころを紹介していきます!

1日目:グレード・ワーフ~クリントン・ハット

(グレード・ワーフ)

まず初日は足慣らし。山々が連なる絶景が広がるウェットランドウォークに立ち寄り、苔むす森や美しい川を眺めながら歩きます。

(クリントン・ハット付近の土ボタル)

ハット付近に土ボタルの生息地があるので、夜は鑑賞もおすすめ!幻想的な光景を見る事ができます。

2日目:クリントン・ハット~ミンタロ・ハット

森の中を進むと徐々に視界が開けます。氷河に削られた渓谷や流れ落ちる無数の滝。そして最高地点マッキノン・パスが初めて見えるスポットも!

(ヒドゥンレイク付近)

2日目は後半に登りが待っているので、ペースを上げすぎず景色を楽しみながら歩きましょう。

3日目:ミンタロ・ハット~ダンプリング・ハット

(マッキノン・パス)

ミルフォードトラックのハイライト、マッキノン・パスまで500mほど高度を上げます。マッキノンパスシェルターからは氷河に削られた渓谷が眼下に!

ここを過ぎると後はほぼ下り。長い階段が続くのでトレッキングポールがあると安心です。

4日目:ダンプリング・ハット~サンドフライ・ポイント

(サンドフライ・ポイント)

最終日は予約している船の時間から逆算して出発。3泊4日の山行に思いを馳せながら、最後の散策です。最終地点サンドフライ・ポイントに到着したら、船の時間までシェルターで待機。

(ミルフォードサウンド)

そこから船でミルフォードサウンドまで行き、バスで町まで戻ります。

事前に知っておきたい注意点

ミルフォードトラックはテントの設営ができず、歩き通すには山小屋の予約が必須!基本的に逆走ができず一方通行の為、行程や体力に合わせ2パターンの歩き方から選択します。

ガイド付きウォークと個人ウォーク

ミルフォードトラックを楽しむための方法は大きく分けて2つ。ガイド付きウォークと個人ウォークです。
どちらを選んでもトレッキング中に見られる景色は変わりませんが、大きな違いは行程と設備。さらにガイドウォークの最終日はクルージング付きです。

行程:

  • 行程: 宿泊施設
  • ガイド付き: 4泊5日
  • 個人: 3泊4日

宿泊施設:

  • 行程: デメリット
  • ガイド付き: 寝具・シャワー付き 食事付き
  • 個人: 寝具・食事は自分で準備 シャワーなし

デメリット:

  • 行程:
  • ガイド付き: 高額
  • 個人: ガイド付きよりは 安い

テント泊や縦走の経験があれば個人でもさほど心配はありません。体力・準備・予算、さらに海外ということを考慮し選ぶことをおすすめします。

個人で歩くなら、まず「ハット」の予約を!

(クリントン・ハット)

ハットと呼ばれる山小屋の予約は半年以上前からWeb上でスタートし、予約開始時間と同時にどんどん埋まるほど大人気!ハットの定員(40人)がそのまま入山制限人数にもなるため、早めの予約が不可欠です。宿泊と合わせて交通手段もセットで予約し、支払いは事前にクレジットカードで済ませましょう。
ミルフォードトラックの予約ページへ

かなり厳しい?!持込制限に要注意

ニュージーランドは持込制限が厳しく、生ものや卵(加工品含む)はNGです。また、食品を持ち込む場合は空港で必ず申告しましょう。フリーズドライ食品や行動食は現地で購入するのがおすすめ!

必須アイテムは「虫除け・日焼け止め・長袖」

トラック内で注意したい虫がブヨの仲間「サンドフライ」。2~3ミリの小さな虫ですが、刺されると強いかゆみと腫れに悩まされることも。「サンドフライ・ポイント」という最終地点ではこの虫が大量発生しています。日本の虫よけは効かないため、現地の薬局等で調達しましょう。

1年のうち3分の2は雨のミルフォードトラック。しかしまれに晴れると日本の7倍といわれる強烈な紫外線が降り注ぎます。様々な環境に適応できるよう、日焼け止め・レインウェア・速乾性の高いベースレイヤーは準備しておきましょう。

ハット設備の充実度は?そして気になるトイレ事情

やっぱり気になるトイレ事情。さらにハットの設備も気になるところですね。設備やトイレについて紹介します。

(ミンタロ・ハット)

シーズン中はガス・水道が使用可能。ライターやマッチは不要です。洗剤はありますが、食器・調理器具は一切ありません。ごみは全て持ち帰りましょう。

(ダンプリング・ハット)

ベッドの寝具はマットのみ。専用用紙に名前とハットパスNo.を記入してスペースを確保。人数分ありますが、到着順に好きな場所をとるため、便利な場所から埋まっていきます。

(マッキノン・パスシェルター)

ハットのトイレは男女共同ですが、水洗で清潔!

ハット以外のトイレは多少設備が劣りますが、適度な間隔で設置されているので困る事はありません。しかしコース中のトイレはペーパーがないこともあり、持参すると安心です。

特別感満載の人気No.1コース!絶景だらけの大冒険へ

世界遺産の絶景を3泊4日かけ、自分の足で歩き抜いた達成感は忘れられない思い出に!人数制限があるから混雑せず、特別感を味わいながら歩くことができます。素晴らしい景色を体感できるミルフォードトラック。旅先の候補に加えてみてはいかがでしょうか!

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