「空き家バンク」登録順調 雲仙市、新規倍増24件

 長崎県雲仙市がインターネットで賃貸や売買の物件情報を提供する「空き家バンク」の登録が順調に推移している。本年度は1月末現在で新規に登録された空き家は24件で、既に昨年度(12件)から倍増。再登録を含む総登録件数も昨年度末の39件から67件に増えた。市は「制度が周知されてきたことや、担当職員を増員して現地調査と登録促進を強化したことなどが奏功した」と分析している。
 市の「空き家バンク」は2012年度から登録が始まった。14年度までの新規登録は合計で4件にとどまっていたが15、16年度にそれぞれ11件、17年度に12件あった。本年度は1月末までに24件の登録があり、総登録件数は67件、成約件数は41件になった。
 市が実施した15年度の調査によると、市内には約780戸の空き家がある。本年度から、危険家屋かどうかの判断や利活用できるかも含めた実態調査を本格化させた。空き家対策を担う市政策企画課の職員を1人増員して現地訪問を強化。バンクに登録した所有者には奨励金を交付するなど補助も充実させた。
 調査をする空き家の中には家主が不明な物件もあれば、所有者が遠方に住んでいるケースもある。実態調査には地域をよく知る住民の協力が不可欠で、担当職員は月数回、自治会長らと現地を回る。建物や所有者の状況などを確認し、所有者へはバンク登録や保全対策を促すなどしている。
 1月末現在、市内242自治会のうち調査が終わったのは54件。16件の空き家がある同市国見町の川西自治会の古賀弘志会長は「まちのにぎわいや景観的に空き家はないほうがいい。一人でも多くの人に来てもらえるよう、まちづくりも進めたい」と話す。同課は「今後も地域と協力しながら活用できる空き家の掘り起こしを進め、定住促進につなげていきたい」としている。

古賀会長(右)と一緒に空き家の実態調査をする市職員=雲仙市国見町

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