米軍整備士、氏名不詳のまま書類送検 三浦ヘリ横転

 2013年12月に神奈川県三浦市の埋め立て地で、在日米海軍厚木基地(綾瀬、大和市)のヘリコプターが不時着、横転し、乗組員4人のうち2人がけがを負った事故で、神奈川県警が業務上過失傷害の疑いで、米海軍の整備士1人を氏名不詳のまま書類送検したことが15日、捜査関係者への取材で分かった。書類送検は昨年12月3日付。横浜地検は同罪の公訴時効直前の同11日に不起訴処分とした。理由は明らかにしていない。

 書類送検容疑は、13年2月にヘリを整備した際、テールローター(後部回転翼)の部品取り付けを適切に行わず、同年12月16日、三浦市三崎5丁目の二町谷地区埋め立て地にヘリを不時着、横転させ、ともに乗組員の27歳の男性に骨盤骨折、31歳の男性に足の骨を折るけがを負わせた、としている。

 県警は事故のあった翌17日に日米地位協定に基づき、米軍の同意の下、同容疑で約1時間半にわたり現場検証を行い、機体の損傷具合や部品の飛散状況などを調べた。一方で、捜査関係者によると、乗組員やヘリの整備関係者らへの事情聴取は実現しなかったという。機体も米軍が回収した。

 事故を巡っては、在日米軍司令部が14年6月、「テールローターの部品の取り付けが正確に行われず、整備状況も適切にデータベースに記録されていなかった人為的ミス」との調査報告書を日本政府に提出した。県警はこの報告を基に、捜査を進めたという。

 04年8月に沖縄県宜野湾市の沖縄国際大に米海兵隊の大型輸送ヘリが墜落し、米兵3人が重軽傷を負った事故では、沖縄県警による発生直後の現場検証を米側が拒否した。三浦市の事故では現場検証は実現したものの、関係者への事情聴取はできず、真相究明は難航した。捜査関係者は「できる範囲で捜査を尽くした」とした。

 事故現場は三崎港の一画で、近くには倉庫、数百メートル先には住宅街がある。

横転した在日米海軍所属のヘリコプター=2013年12月16日午後4時ごろ、三浦市三崎5丁目

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