「一生褒めないかも」は最大級の評価? 日ハム栗山監督が語った吉田輝の魅力

日本ハム・栗山監督【写真:荒川祐史】

1イニングで29球、指揮官は「ピッタリいく感じが素晴らしい」

 日本ハムのドラフト1位・吉田輝星投手が16日、1、2軍合同の紅白戦で“実戦デビュー”を飾った。白組の先発投手として真っさらなマウンドに上がった右腕は大田にソロ本塁打を被弾するなど、1イニングを投げて1安打2四球1失点。それでも、試合後には「球自体はいいボールがいっていた。良かったと思います。まずはストライクゾーンがしっかり分かったのは収穫になった。思ったよりも通用した」と手応えを口にした。

 打者6人に対して1安打2四球、1個の三振を奪った吉田輝。この日の最速は、ドラフト1位対決となった清宮を二ゴロに打ち取った144キロだった。結果的にはピリッとしなかったものの、「結果どうのこうのより、非常にいいスタートを切ったなという凄く安心しているというか……。輝星はまだバラバラなところもあるけど、タイミングが合えば本当に良い球来るし、非常に楽しみ。変にまとまるよりも、あれくらい荒れているほうが、やっぱり楽しみだなという感じがある」と栗山英樹監督は嬉しそうにこの日の投球を評価した。

 続けて指揮官は「今日だけかもしれないけど、褒めるのは。これから一生褒めないかもしれないけど、持っているものの大きさは感じられたので凄くいいスタートを切ったと思う」と語った。この「一生褒めない」。エンゼルスの大谷翔平投手が在籍していた際も、栗山監督が大谷を褒めたことはほとんどない。この言葉こそ、指揮官が吉田輝の秘めたるポテンシャルを評価した証ではないだろうか。

 指揮官が目を細めたポイントはどこだったのか。紅白戦終了後、栗山監督は「ボールがかかった感じの真っ直ぐの感じはいいねえ。力のあるボールを持っているというのは非常に魅力。何球かあったよね指にかかった真っ直ぐが」と、指にかかった真っ直ぐの威力を称賛した。

高卒離れした体の作りに指揮官「全然大丈夫そう」

 さらには“意外な”点も。高卒ルーキーということもあって、ある程度、球数には制限を設けていたという。「そこのところも考えていたけど、ピッタリ行く感じも素晴らしいし、野球の神様が見守っているなと思いながら見ていた」。投じたのは29球。少なすぎず、かといって投げ過ぎでもない。首脳陣が求めていた球数を投げたことを評価したのだ。

 ドラフト5位の柿木蓮投手とともに、高卒新人ながら、いきなり紅白戦で登板、しかも先発させた。それも「高校生だから使う使わないじゃない。彼ら見ていると体の作りがしっかりしているのよ。だから18歳だろうと、30歳だろうと、50歳だろうと、いけるかいけないかっていう体の状態を見ているから。全然大丈夫そうじゃない、彼らは」という理由から。しっかり見極め、計算した上で起用している。

 横尾の打席では一塁後方へのファールフライを、杉谷が捕れずに落球。この場面も、栗山監督は「拳士がエラーしたときに笑っただろ。ああいうのがいいよね。普通笑えない。結構緊張すると思うんだよ、ふと普通にできる良さは、いいなと思ったよ」と笑う。プロ野球選手として、まず最初の実戦のステップを踏んだ吉田輝。大谷翔平のように、栗山監督のもとで大輪の花を咲かせることができるだろうか。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

© 株式会社Creative2