WRC:トヨタ、2019年初優勝へ王手。タナクは「賢い走りで優勝に大きく近づいた」

 2月16日に行われた2019年のWRC世界ラリー選手権第2戦スウェーデンの競技3日目。この大会に3台のワークスマシンを送り込んでいるTOYOTA GAZOO Racing WRTは、オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)が首位に浮上し、シーズン初優勝を射程に捉えた。

 ラリー・スウェーデンの競技3日目は、サービスパークが置かれるトルスビーの東側エリアを中心に8SSで争われた。前日とは異なりすべてのSSがスウェーデン国内で行われる1日だ。

 競技2日目終了時点でトップと2秒差の総合2番手につけていたタナクは、SS9で逆転に成功して総合首位へ。続くSS10では順位を争っていたテーム・スニネン(フォード・フィエスタWRC)が失速したため、一気に34.2秒までリードを広げてみせる。

 勢いに乗るタナクは、現地午後に行われたSS12〜13、15の3SSでトップタイムを刻んでリードを54.5秒まで広げてフィニッシュ。最終日の3SSを残して2019年シーズン初優勝に王手をかけた。

 前日、総合8番手につけていたクリス・ミーク(トヨタ・ヤリスWRC)はSS9で総合6番手までポジションアップすると、午前最後のSS11を終えた時点で総合3番手と10秒以内につけ表彰台を争う。

 しかし、ミークは出走順が早かったこともあり、気温が上がって路面コンディションが悪化した午後の走行でペースダウン。首位タナクと1分36秒5差の総合6番手で走行を終えた。

コリンズクレストで大ジャンプをみせたクリス・ミーク(トヨタ・ヤリスWRC)

 なお、ミークはSS14“ヴァルゴセン2”のジャンピングスポット、自身の師であるコリン・マクレーの名前を関したコリンズクレストで今大会最長となる41メートルの飛距離を記録している。

ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)

 競技2日目に雪だまりに捕まりデイリタイアを余儀なくされたヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)は、ラリー2規定で再出走を果たすとSS9でステージ最速タイムを記録。しかし、出走順が早いこともありペースを上げることが叶わず、総合25番手となった。

■マキネン代表「今日、オット(タナク)はラリーを完全にコントロールしていた」

 チーム代表のトミ・マキネンは「今日、オット(タナク)はラリーを完全にコントロールしていた」とタナクの走りを評価する。

「昨日は良くないコンディションで注意深く、あまり攻めすぎないで走るなど非常にうまく戦ったが、それが今日の出走順につながった。とても賢いドライビングで、オットは優勝に大きく近づいたといえる」

チーム代表のトミ・マキネン

「一方、クリスとヤリ-マティは特に午後のステージで苦戦した。彼らによると路面は解けた雪で覆われ、ラリー・モンテカルロをもう1度戦っているような感じだったようだ」

 首位におどり出たタナクは「朝の路面コンディションは昨日と同じようにとても良く、心から運転を楽しめた。ただし限界までは攻めず、良いリズムを保つことだけを心がけて走った」とコメント。

 総合6番手のミークは「明日は、今現在の順位を守ることに集中」するとしたほか、ラトバラは「テクニカルなセクションでは思うように走ることができなかったから、何とかセットアップでその問題を解決し、明日のパワーステージでは良い結果を狙いたい」と述べた。

 競技最終日となる17日(日)は、トルスビーを中心にSS17〜19の3SSが開催される。SS17〜18の“リケナス”は21.19km、SS19は8.93kmのステージだ。また、SS19はステージトップ5位までのドライバーにボーナスポイントが与えられるパワーステージとなっている。

 3SS合計の走行距離は合計距離は51.31km、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は202.00kmだ。

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