4児のママ 16年ぶりの舞台へ 「頑張る姿 見せられたら」 「島原半島」の最終日アンカー 永友優雅さん 家族のため、古里のために 

 第68回郡市対抗県下一周駅伝大会最終日の17日、4人の子育てに奮闘する“ママさんランナー”が島原半島チームのアンカーとして出走する。かつて実業団に在籍していた永友優雅(ゆかり)さん(南有馬子育て支援センター)、34歳。「皆さんがつないでくれたたすきをしっかりとゴールに届けたい」。家族のため、そして古里のために。18歳の時以来、16年ぶりに桃色のたすきを掛けてロードを駆ける。
 早朝5時。シューズのひもを結び、外へ飛び出す。黙々と10キロのランニング。「考えているのは夕食の献立とか…」。貴重な一人きりの時間。頭の中を整理して自宅に戻ると、夫や子どもの朝食をつくり、職場や小学校、こども園と保育園に送り出す。時間はあっという間に過ぎる。
 旧姓は藤本。雲仙市立北串小で陸上を始め、県立口加高で才能が開花した。3年時に出走した2003年全国都道府県対抗駅伝6区で区間5位と力走。続く県下一周駅伝も南高・島原チーム(当時)の女子V3に貢献してMVPに輝いた。
 高校卒業後、実業団のダイハツ(大阪)に入社した。だが、高校時代から悩まされてきた貧血が元で選手生活を断念。翌年の春に帰郷し、地元の障害者福祉施設で働き始めた。その後、職場の同僚で現在は消防士の直樹さん(38)と結婚。長女の蒼来(そら)さん(8)、次女の一華(いちか)ちゃん(5)、長男の翔磨ちゃん(3)、次男の佑磨ちゃん(8カ月)が生まれた。
 再び走り始めたのは約2年前。ストレス解消のためではあったが、また、その魅力にはまった。次男を妊娠、出産した期間を除いてトレーニングを継続。今年1月、雲仙小浜SPAリゾートマラソンの一般女子ハーフに出場した。1時間21分20秒で2位に入ると、その場で県下一周出場を打診された。
 最初は「無理」と思った。ただ、直樹さんも県下一周出場16回の市民ランナー。夫を応援するうち、この大会を地域の人たちがどんなに楽しみにしているかを実感していた。自らが走る時、子どもたちが見せるうれしそうな顔にも背中を押され、出場を決めた。
 ひた向きだった高校時代、挫折も経験した実業団時代を経て、走ることは今「日々の活力」になった。「どこまでやれるか分からないけれど、頑張るママの姿を見せられたら」。夫や子どもたちの笑顔を楽しみに、古里のたすきをゴールに届ける。

「ママ頑張るね」。子どもたちに囲まれ、笑顔を見せる島原半島チームの永友さん(南有馬子育て支援センター)=島原市上の原3丁目、市営陸上競技場

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