いだてん、肥後路を快走 熊日30キロロード 沿道に笑顔、復興後押し

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熊日30キロロードレースの序盤、給水所付近を走る川内優輝選手(中央、埼玉県庁)ら先頭集団=17日午前、熊本市南区(高見伸)
熊日30キロロードレースの終盤、トップを走る片西景選手(駒大、左)に声援を送る沿道の人たち=17日午前、熊本市中央区

 1万4千人が颯爽[さっそう]と駆け抜けた。17日に熊本市で開かれた熊本城マラソン。金栗記念第63回熊日30キロロードレースは初優勝した駒大の片西景選手(21)をはじめ大学生が3位までを占めた。若き「いだてん」たちが快走し、最強の公務員ランナーの異名を持つ川内優輝選手(31)=埼玉県庁=は苦戦しながらも懸命に走りきった。歴史めぐりフルマラソンは、熊本地震や西日本豪雨からの復興を願うランナーが、約26万5千人の観衆と心を通わせた。

 日本マラソンの父、和水町出身の金栗四三が創設した伝統の熊日30キロ。金栗をモデルにしたNHK大河ドラマで注目を集める中、同じく金栗が生んだ箱根駅伝で活躍した若武者たちが登場し、沿道にファンが詰め掛けた。

 スタート近くの大甲橋付近では、菊陽町のパート中場奈央子さん(34)が「片西選手や吉田圭太選手(青学大)が楽しみ」とレースにくぎ付けに。トップスピードで駆ける選手たちを家族6人で見守った永田大武[ひろむ]君(4)=同市中央区=は「みんなかっこいい」と興奮した。

 レース終盤は片西、吉田両選手の一騎打ちに。片西選手が1番でフィニッシュすると、駒大カラーの藤色の帽子とタオルを身に着けた同市中央区の大学生塩田綾子さん(25)が「ずっと応援していた選手」と喜んだ。片西選手も「金栗さんの大会で優勝できて光栄。熊本はマラソンを好きな人が多い」とほほ笑んだ。

 2013年大会で優勝し、昨年4月の米ボストンマラソンを制した川内選手も沿道を沸かせた。益城町の看護師田川尚子さん(55)は「6年前に礼儀正しい姿を見てファンになった」。

 川内選手は16年の熊本地震以降初めての出場で、「石垣が崩れたままで、爪痕の大きさを感じた」。前日16日のジョギングの際、復興途上の熊本城を目に焼きつけたという。

 序盤は先頭集団につけたものの13キロすぎに遅れ始めた川内選手を支えたのは沿道の励ましだった。「コース全体に工夫を凝らした応援があって粘ることができた」。最後は持ち味を発揮し数人を抜いて10位でゴールした。

 フィニッシュ近くのびぷれす広場前で、妻と警備ボランティアを務めた同市北区の自営業竹岡良一さん(70)は「レースを見ると晴れやかな気持ちになり、復興に弾みがつく」。ひたすらに駆けるランナーたちの雄姿は熊本の歩みを後押しする。(山下友吾、山本文子)

(2019年2月18日付 熊本日日新聞朝刊掲載)