世界遺産生かし活性化を 意義や保全法探るシンポ 平戸・根獅子

 世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の意義や保全法などを探るシンポジウムが16日、平戸市根獅子町の根獅子公民館であり、資産を生かした地域おこしなどについて考えた。
 同市には構成資産の春日集落などがあり、シンポは特定のテーマで研究者の発表大会やフォーラムなどに取り組む地域デザイン学会九州・沖縄地域部会(山田啓一部会長)が企画。約80人が来場した。
 2008年から、同集落や資産から除外された田平天主堂などの調査に携わった平戸市文化交流課係長の植野健治さん(43)が講演。植野さんは登録の影響が交流人口の拡大や観光産業の成立など多分野に派生していると説明。「生み出す益が少なくても、将来も持続可能な仕組みを構築することが必要だ」と述べた。
 同集落を例に、行政は住民、来訪者と一緒に資産を守ることが大切とも強調。過疎化が進む集落では今後、棚田を生かしたイベントや加工品製造に加え、地域資源を生かした着地型ツアーも推進すべきと語った。
 シンポでは地元の町づくり団体、根獅子集落機能再編協議会の川上茂次事務局長を交えたパネルディスカッションもあり、情報発信の在り方などについて意見を交わした。

パネルディスカッションをする(左から)山田部会長と川上さん、植野さん=平戸市根獅子町

© 株式会社長崎新聞社