丸井今井室蘭支店【33】

室蘭

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地元経済発展に貢献

室蘭の老舗百貨店だった丸井今井室蘭店。「丸井さん」の愛称で親しまれた=室蘭市中島町、2009年撮影。

 1891年(明治24年)11月19日、現在の室蘭市中央町に開店した丸井今井室蘭支店。室蘭の商業は丸井とともに繁栄し「丸井さん」の愛称で親しまれた。昭和のにぎわいを知る市民は「買い物客の肩と肩が触れ合うほどだった」「包み紙を提げて歩くのがステータスだった」と懐かしむ。

 丸井今井の創業者は新潟県出身の今井藤七。商人を志して渡道し、72年(明治5年)に札幌の創成川畔に小間物商を開業したのが始まり。2年後に呉服店を開き、●の屋号を掲げた。事業を拡大し、97年までには札幌、小樽、函館、旭川、室蘭に支店を設けた。

 「お客を大切に親切に。清く正しく信用第一」「お客は父、問屋は母、店方の情誼(じょうぎ)を篤(あつ)く鄭重(ていちょう)に」「事業は人なり慈愛で導け」を社是とし「商いは飽きないこと」「質素を旨とすべし」を信条とした。質の良い物を安く売り、誠実さで客の信用を厚くし、いつしか「丸井さん」と愛称された。

 室蘭支店は当時の札幌通り(現在の中央町1丁目)に開店し、人口増加に伴うように増改築を重ねた。1960年代に室蘭の市街地が蘭東地区に移ると、中島地区が新興商業地となった。室蘭支店は81年(昭和56年)4月に中島町に移転。同時に長﨑屋室蘭中央店、室蘭ファミリーデパート桐屋もオープンした。

 室蘭のまちの成長とともに歩んできた老舗百貨店。丸井今井本体の経営危機から、2010年(平成22年)1月20日、市民に惜しまれつつ、118年の歴史に幕を閉じた。大勢の買い物客が、「丸井さんありがとう」と最後を見届けた。
(成田真梨子)

※●は「○」の中に「井」

(2019年2月17日掲載)