もの補採択率 全国の倍

室蘭地域の中小企業

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 室蘭地域のものづくり企業活性化チーム・学官金室蘭の支援を受けた中小企業の設備投資が、取り組み開始から6年で13億円を突破した。国のものづくり補助金(もの補)の申請を側面支援しているが、手掛けた案件の採択率は全国平均の2倍を超えている。先を見据えた投資は経営の意識改革につながり、航空機など「新分野挑戦の素地」にもなっている。

 昨年10月、五嶋金属工業(室蘭市東町)は採択を受け、第2工場にPCB処理スラグ受け容器製造用のベンディングロールを導入、容器の一貫製造体制を構築した。業務効率化に加え、本社工場からの半製品輸送の経費削減、在庫管理の課題を解消した。

 「もの補」採択4度目となる五島了社長は、新たな工作機械の稼働と業務効率化を喜び「室蘭テクノセンター(学官金室蘭構成メンバー)のコーディネーターの支援には本当に感謝しています」と笑顔を見せた。

気付き重要

 学官金室蘭は、国の緊急経済対策として2012年度(平成24年度)補正予算から始まった「もの補」の申請支援をきっかけに発足した。同センター、室蘭信用金庫、室蘭市産業振興課、室蘭工業大学の実務者で構成する。

 「もの補」採択のハードルは高いが「補助率3分の2以内、上限1千万円」という内容は、中小企業にとって非常に有利だ。500万円の自己資金で1500万円の工作機械が導入できる可能性がある。

 それだけに説得力ある経営計画が不可欠で、ここを学官金室蘭がフォローする。企業に寄り添い、新設備を希望する背景や、市場見通し、導入効果を〝深掘り〟。差別化戦略なども助言する。

 狙いは単なる設備投資の促進ではない。「補助金を契機に経営と向き合うことで見えてくる『気付き』が重要。ここから生まれる改善意識が前向きな経営につながる」(市)というのが本筋だ。

 ただ、当初はうまくいかなかった。市産業振興課の岩倉雅人主任は「ある会社からは事業計画書の作成の手間を指摘され、『負担が大きすぎる』と言われました」と苦笑いする。

 それでも各社を回り説明を繰り返すことで、徐々に支援企業が増え、評判が広がった。現在では企業自らが、メンバーに相談に訪れる機会が増えている。

提案力磨く

 ノウハウの蓄積が高い採択率につながった。6年間の申請件数は91件で採択は77件。採択率は84・6%を示し、全国平均の40・8%を大きく上回る。直近の17年度補正では過去最多の18件が採択された。

 同センターは最近、さらに企業の提案力を磨いてもらおうと、簡易な「記載事項整理シート」を作成、活用を呼び掛け始めた。今野崇士企業支援課長は「提案力は武器になります」とさらなる飛躍を期待した。

 堀井剛志同課係長は「支援した企業はどこも問題意識を持ち経営に当たっています。これが生産性や技術向上につながっている。支援側も現状に甘んじず、時代に合った支援の在り方を追求し続けたい」と話している。
(鞠子理人)