ラオスの野球大会に日本人チームも 野球を通じた国際交流で広がる支援の輪

1月にラオスで行われた野球大会に日本チームも参加【写真:豊川遼】

5か国10チームが参加した大会、韓国球界関係者の尽力によって開催

 1月にラオスで行われた野球大会は韓国野球関係者の尽力によって開催が実現した。5か国10チームで構成された今大会では日本チームも参加。大会参加のきっかけは小さな支援からで、世界的な競技普及は今後、野球が五輪競技として残っていくためにも必要不可欠だ。

 そのためには日本をはじめとする野球先進国が先頭に立ち発展途上国を支援する体制を整えることが第一歩となるだろう。そんな中、韓国球界関係者の尽力によって東南アジアに位置するラオスで野球が行われるようになった。本格的にラオスで野球が始まったのは2014年からで、韓国プロ野球の草創期を支え、現役時代は3冠王にも輝いたイ・マンス氏が中心となり支援を行っている。

 韓国から指導者を派遣し、道具を集めて野球ができる環境を整えていき、翌2015年からは毎月1月に「韓国-ラオス野球大会」を開催。ラオス国内で競技認知度を高めることを目指している。「韓国-ラオス野球大会」と銘打ってはいるものの、周辺国を集めた大会となっており、その中には日本チームも参加している。

 なぜ、日本チームがこの大会に参加できるのか。ラオスで中小企業の海外展開支援事業に関わりながら野球指導も行っている山本奮(いさむ)氏によれば「元々は大会終了後にエクストラマッチのような形で日韓戦をやっていました。また、私だけでなく毎週3~4人の日本人が普段の練習に参加していたので、韓国側も私たちに『参加しないか?』とオファーしてくれたのがきっかけです」と語る。

 過去の大会では元日本ハムの糸数敬作氏がエクストラマッチに参加したことがあり、当時は大盛り上がりをみせたという。ラオスは韓国人が中心となっての野球普及だが、現地在住の日本人も大会への参加や練習の手伝いをすることで支援を行っている。

日本がラオス野球のためにできること

 1月に行われた「韓国-ラオス野球大会」は今年で5回目の開催となった。日本チームは現地で働いている人や大会のためにラオスを訪れた人で構成され、日替わりでメンバーが入れ替わった。そのために日によっては人数が足りなくなる時もあり、その際は大会運営スタッフも務めた韓国人も混ざって日韓混成チームで試合に臨んだ。

 大会はラオスの首都・ビエンチャンにあるチャオ・アヌウォン国立競技場(サッカー場)で開催され、1試合1時間半の時間制、マウンドはとび箱のとび台のような簡易的なものが用意されるなど日本とは違う環境下で行われた。天然芝のフィールドで打球がイレギュラーし、出場した多くの選手たちが苦戦していたものの、日本チームは堅実な守備を武器に3試合を戦い2勝1敗という成績を残した。

 沖縄県うるま市出身で日本チームの一員として大会に参加した宮城雄飛氏は「今回で2回目の参加になります。私は英語も韓国語も全然できませんが、野球用語は共通だと思うのでプレーは韓国人の方ともフレンドリーに楽しくできました」と野球を通じての国際交流に喜びを感じていた。ちなみにラオスでの野球大会は誰でも気軽に参加することができ、来年も同時期の開催を予定している。こうした継続的な野球大会の開催は国内での競技認知度を高め、ラオス人にとっても新たなスポーツの選択肢となる。

 昨年はインドネシアで行われたアジア大会にも出場したラオスだが、国内に野球チームは1つしかなく、まだまだ発展途上の段階。日本も試合開催のためのチームの派遣や、野球教室を開催など支援できることがある。こうした小さな積み重ねが本当の意味での競技普及に繋がっていくのではないだろうか。(豊川遼 / Ryo Toyokawa)

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