廃業予定者の事業価値 承継へ無料簡易査定

 県は新年度、廃業を予定する小規模事業所の事業価値を無料で簡易査定し、事業承継につなげる取り組みを始める。事業主の高齢化や後継者不足に伴う廃業を防ぎ、会社を第三者らに円滑に引き継ぐのが狙い。県外からの移住の後押しになることも期待している。
 事業承継によって雇用が維持されるだけでなく、創業希望者にとってもノウハウや人脈などを受け継ぐことができ、事業を始めやすいメリットがある。一方、経済センサスを見ると2009年度から16年度までに県内では約4300事業所が減った。県経営支援課は、このうちの多くは後継者がいないなどの理由で廃業した可能性があるとみている。
 県事業引継ぎ支援センターが、廃業を考えている事業主と、創業したい人をつなぐ「後継者人材バンク」を昨年6月に設置し、承継を促しているが、センターに相談せずに廃業する事業主も少なくないという。
 廃業予定者と創業希望者のマッチング率を上げるためには、廃業予定者に後継者人材バンクへの登録を促す必要がある。新年度からは、事業の現存価値を税理士などに査定してもらうことを想定。県は新年度当初予算案に関係費700万円を計上しており、年間60件の査定を見込んでいる。
 新年度予算案について、13日に説明した中村法道知事は「承継することによって価値が引き継がれることを示し、円滑に次の経営者にバトンタッチしていければ」と話した。

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