【ホンダ密着】F1バルセロナテスト初日:昨年の倍以上のスタッフ50名の大所帯。まずはPUトラブルフリーで信頼性は合格点

 ホンダは2019年から、レッドブルとトロロッソの2チームにパワーユニットを供給する。複数供給が第4基F1活動での初体験なら、コンスタントに優勝に絡むトップチームと組むことも初めてのことである。2月18日からバルセロナ・カタロニアサーキットで始まった開幕前テストは、その最初の現場作業だった。

 ホンダはここに、大部隊といっていい陣容を送り込んだ。トロロッソへの単独供給だった2018年は、現場スタッフは15人前後だった。2チーム供給の今年は、単純計算でその倍になる。ただし両チームに共通したスタッフも若干名いるので、合わせて30名弱といったところがグランプリ週末の体制だ。

 それが今回は、レース現場未経験の新人やファクトリー勤務のエンジニアに実地トレーニングをさせようと帯同させた。さらにテスト用のナイトシフトのメンバーなどが加わり、総勢約50名という大所帯に膨れ上がった。たしかにパドックを歩いていると、かなりの頻度でホンダの、あるいはレッドブルやトロロッソのウェアを着た日本人とすれ違う。しかもその多くは、初めてお目にかかる面々だった。

 レース週末では不可能だが、テストの際は報道陣もかなり自由にピットを歩き回れる。初日はセッションの始まるしばらく前から、レッドブルガレージ正面のピットウォールに陣取った。初日はマックス・フェルスタッペンがステアリングを握った。午前9時。ガレージを完全に目隠ししていた衝立が外され、ホンダ製パワーユニットに火が入った。ところがマシンが動き出す前にエンジン音が消え、ガレージは再び衝立で塞がれてしまった。

「いきなりホンダのトラブル?」と一瞬ドキッとしたが、レッドブルのテクニカル・ディレクター、ピエール・バシェによれば、「車体側の電気系トラブル」とのことだった。それも軽微なものだったようで、5分も経たないうちに、RB15はすぐにガレージから出て行った。しかしピットロード上で急停止。今度はキミ・ライコネン(アルファロメオ)のコースオフによる赤旗中断に、引っかかってしまったのだった。

 それでもその後は順調に周回を重ね、午前中は5番手タイム。最終的には128周を周回して、フェルスタッペンは総合4番手だった。

■「基本コンセプトを継続」した2019年のホンダPU

 一方、ダニール・クビアトが担当したトロロッソは、午前中にやはり車体側のマイナートラブルで1時間以上ガレージに足止めされたが、それ以降は順調だった。周回数こそ77周ながら、総合6番手とまずまずの速さを披露した。

 両マシンともに、パワーユニット側はほぼトラブルフリーだった。実はシェイクダウンの際には、2018年のスペック3投入時に悩まされたオシレーション症状も出たとのことだったが、今回のテストまでにほぼ解消できたようだ。

2019年F1バルセロナテスト ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)

 ということで少なくとも初日に関しては、信頼性は合格点だった。では今季のパワーユニットは、去年までのものと比べてどんな進化を果たしているのか。「基本的なコンセプトは、継続です」としか、田辺豊治テクニカルディレクターは話してくれない。

 しかし両チームの首脳陣、そしてフェルスタッペンとクビアトは申し合わせたように、「ホンダはこの冬、実にいい仕事をしてくれた」と、コメントしている。外交辞令を差し引いても、パフォーマンス面で比較的大きなステップアップを果たしたと考えるのが妥当ではないだろうか。

2019年F1バルセロナテスト ホンダF1田辺豊治テクニカルディレクター
2019年F1バルセロナテスト マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

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