四季を通じて安定した走りを可能にするオールシーズンタイヤを実際の雪道で試す!
前回はドライ路面でテストを実施した、グッドイヤーがリリースするオールシーズンタイヤの「Vector 4Seasons Hybrid(ベクター フォーシーズンズ)」。
その名の通り、オールシーズン=四季を通じて使えるオールシーズンタイヤは、突然の降雪にも対応でき、ドライ路面やウェット路面でも安定した走行ができるということで、今回は実際に雪道を走行してその実力をチェックしてみることにした。
今回の車両も前回と同じく先代プリウスで、215/45R17というサイズも不変となっている。
なお、今回は雪を求めて北上する際に関越自動車道を走行したが、高速道路の走行でも不安定さはもちろん、耳障りなパターンノイズもほとんど感じ取ることはなかった。そのため、日常的に高速道路を使用するようなユーザーが装着してもストレスに感じることはなさそうだ。
オールシーズンタイヤを履いたクルマを実際の雪道に持ち込んで徹底チェック!
突然の降雪にも対応できるところが魅力のオールシーズンタイヤではあるが、グッドイヤーのホームページを見てみると、シャーベット路面と圧雪路面が「○」、凍結路面が「△」という評価になっている。
スタッドレスタイヤはこの3つの積雪路面すべてが「◎」となっていることから分かるように、ベクター フォーシーズンズは積雪路面も走れるけど、スタッドレスタイヤほどではないということになる(ちなみに夏用タイヤは3つの積雪路面すべてが「×」)。
圧雪路面・シャーベット路面、凍結路面の走行性能をチェックする
とはいえ、じゃあ実際はどれくらい走れるのかというのがユーザーが一番気になるところだろう。ということで、今回は雪を求めて多くのスキー場があることでも知られる新潟県までのドライブを慣行してみた。
しかし、雪国の幹線道路は自治体の除雪が行き届いているため、なんとスキー場までの道のりはほとんど雪がなく、場所によってはノーマルタイヤでも来れるんじゃないかと思うほど。非降雪地帯の都心部が少しの雪でもパニックになるのは、こういった除雪が行き届いていないからなのかもしれない。
ということで、急遽目的地を変更。南下して群馬県北部の標高の高い地域に向かうと、ようやく念願の積雪路面に遭遇することができた。
残念ながらテスト日前は降雪がなかったらしく、新雪路をテストすることは叶わなかったが、圧雪路とシャーベット、凍結路を走行をすることができたので、それぞれの印象をお伝えしていこう。
Vector 4Seasons Hybrid×圧雪路
群馬県北部の圧雪路面でベクターフォーシーズンズを試してみたが、結論としては全く不安がなく走行することができたと言える。
発進時もよほど乱暴にアクセルを開けるようなことしない限りはタイヤが空転することもなく、想像以上のグリップ力を感じることができた。
コーナーでもステアリングにしっかりと手ごたえがあり、オーバースピードでコーナーに侵入するようなことさえしなければ、なんの問題もなくクリアすることができるほどで、しっかり感以上に安心感を覚えるほどであった。
Vector 4Seasons Hybrid×シャーベット路
溶けた雪によってシャバシャバな路面となっているシャーベット路面。
ノーマルの夏タイヤだとこのシャーベット状になった雪がタイヤのトレッド面に詰まり、スリックタイヤ状態になって一気にグリップを失ってしまうため、見た目以上に滑りやすい路面となっている。
しかしベクターフォーシーズンズの高い排雪性を実現するトレッドパターンによって目詰まり感は全くなし。こちらも何の問題もなく走破してしまった。
Vector 4Seasons Hybrid×凍結路
ホームページではややニガテとなっている凍結路面。
今回走行したのは日陰でしかも上り坂と、悪条件が重なった場所ではあったが、一定のアクセル開度で滑ることもなく難なく走破してしまった。
帰路は当然下りになるが、下りでも急ブレーキをかけない限りは安定して減速もできるし、ステアリングもちゃんと効いてくれる。
よほど急が付く操作をしなければ何の問題もないというのが、偽りの無い印象だ。
Vector 4Seasons Hybridのオールシーズン性能の高さを実感した!
ということで、実際にベクターフォーシーズンズを装着して雪道走行をした感想だが、予想以上にしっかり雪道を走れるというのが正直なところ。
その場でスタッドレスタイヤ装着車と乗り比べたわけではないので比較こそできないが、慎重な運転さえ心がければさまざまな条件の冬路面でも走行できるはずだ。
ここまでの積雪路面を難なく走れるのであれば、都心部での降雪に対する保険という意味はもちろん、1シーズンに数回スキー場へ向かうようなユーザーにも十分オススメできる。
そして何より、ノーマルタイヤとスタッドレスタイヤの交換のコストや手間、保管場所の問題からも解放されるという点も大きなメリットである。
グッドイヤーでは次世代のスタンダードとなるタイヤも開発中!
なお、グッドイヤーはタイヤは自動車のこれからを取り巻く環境の相互関係の革命的変化を目指しており、さまざまなコンセプトタイヤを発表している。
センサーを組み込みクラウド技術でタイヤと車両間の情報を共有するものや、高センサー機能とAIによる路面に合わせた変形をするもの、熱電素子と圧電素子による発電タイヤまでそのバリエーションは多岐にわたっている。
今回のオールシーズンタイヤが新たなタイヤ選びの提案をしたように、近い将来、我々の思うタイヤの概念を打ち壊すタイヤをリリースするのはグッドイヤーなのかもしれない。
[Text:小鮒 康一 Photo:松田 タクヤ]