父刺殺の少年に不定期刑 横浜地裁判決「防衛範囲超えた」

 自宅で父親を包丁で刺して殺害したとして、殺人の罪に問われた少年(19)=横浜市金沢区=の裁判員裁判の判決公判が19日、横浜地裁であった。深沢茂之裁判長は「保護処分を許容するほどの特段の事情はなく、刑罰をもって臨むのが相当」として、懲役4年以上7年以下(求刑懲役5年以上10年以下)の不定期刑を言い渡した。

 

 公判は、過剰防衛や誤想過剰防衛の成否が争点。弁護側は、父親から長年暴言や暴力を受けてきた少年が両親の激しい口論を目の当たりにして精神的に追い込まれ、とっさに犯行に及んだと主張し、少年院送致の保護処分を求めていた。

 

 深沢裁判長は判決理由で、当時の状況から「父親が母親に危害を加えると少年が誤信したことはやむを得ない」としつつ、「母親を防衛する手段として許容される範囲を明らかに超えている」と指摘。父親を最初に刺した行為について、誤想過剰防衛が成立すると認定した。

 

 一方で、その後も執拗(しつよう)に父親を刺した行為に対しては、「もはや防衛の意思に基づく行為とは認められない」と非難。「取り得る手段が他にもある中で殺害を選択したことは短絡的で正当化できない」とも述べ、「少年にとって若干有利に酌むべき事情を考慮しても犯情は軽くない」と結論付けた。

 

 判決によると、少年は高校生だった昨年1月20日午後、自宅マンションで、同居する父親=当時(44)=の右胸や首などを包丁で突き刺して、殺害した。

横浜地裁

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