くも膜下出血疑う症例学ぶ

室蘭・大川原脳神経外科病院

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西胆振の救急隊員ら勉強会

西胆振管内の救急隊員らが急性期脳卒中治療の現状などに理解を深めた勉強会
「埼玉県急性期脳梗塞治療ネットワーク(SSN)」について解説する神山教授

 大川原脳神経外科病院(前田高宏院長)の「急性期脳卒中治療・救急隊向け勉強会」が、室蘭市寿町の同病院で開かれ、西胆振管内の救急隊員らが、くも膜下出血の疑いを持つべき症例をはじめ、最新の脳卒中治療の現状、急性期脳梗塞に関する地域連携システムを運用する埼玉県の事例など、急性期脳卒中治療に関わる現状に理解を深めた。

 同病院は新病院移転(2016年)に合わせて、西胆振初の脳卒中ケアユニット(SCU)を設置。勉強会は、24時間稼働できる救急医療体制を取る中、患者を搬送する救急隊との情報共有を目的に開かれ、今回で4回目。今月8日夜に開かれ、室蘭、登別両市と白老町、西胆振行政事務組合消防本部の救急隊のほか、同病院の医師や看護師ら約100人が出席した。

 埼玉医科大学国際医療センター脳血管内治療科診療部長の神山信也教授が、同県内の医療機関と消防機関が連携する「埼玉県急性期脳梗塞治療ネットワーク(SSN)」を中心に解説した。

 SSNは、発症から治療開始までの時間が短いほど、元の生活に戻れる可能性が高い脳梗塞の患者について、迅速・円滑に受け入れて治療する態勢を構築。受け入れ可能な最も近い病院を救急隊が把握し短時間で搬送する仕組みで、神山教授はSSN立ち上げから関わっている。

 神山教授は、議員立法の「脳卒中・循環器病対策基本法」が、昨年12月の衆院本会議で可決・成立した状況も説明。同法により、国や都道府県は脳卒中や心臓病などの対策を推進するための計画策定が義務付けられる点―にも触れ、「脳卒中は治る病気。ただ、地方自治体、医療、救急隊による包括的な協力体制を敷かなければ、地域で救うことはできない」と強調した。

 一方、同病院の大川原舞診療部長は昨年、同病院に搬送された計4症例を中心に解説。くも膜下出血は「軽くても命に関わる重要な疾患」とし、突然発症して1分未満でピークに達する「雷鳴頭痛」の関連性にも触れた。

 さらに、「頭痛で救急外来を受診する患者のうち、くも膜下出血は1~3%」とするデータを示した上で(1)40歳以上(2)頸(けい)部痛か項部硬直(3)意識消失の目撃(4)労作時に発症(5)雷鳴頭痛(6)頸部の可動域制限―の一つでも該当する時は「くも膜下出血を積極的に疑う」とする「オタワルール」も説明。参加した救急隊員は真剣な表情で耳を傾けていた。
(松岡秀宜)