浜松の家具メーカー、初のFSC認証「木ダボ」発売

木材家具の製造・販売を行うキシル(浜松市)は2月19日、FSC(森林管理協議会)認証を受けた国産ヒノキ材を100%使用した「木ダボ」を発売したと発表した。木ダボは木材の接合面に差し込む小さな丸棒で、家具や建材など幅広く使われている。認証付き製品は国内で初めて。他メーカーなどからも、100%認証材を利用した木ダボを望む声があったという。発売を通じて同社は、国産FSC認証材の普及促進に結び付けたい考えだ。(オルタナ編集部=堀理雄)

FSCは、責任ある森林管理の普及を目的にした国際的な非営利組織だ。環境影響や地域社会との関係、労働者の権利など10の原則を順守して管理された森林に対し認証を行っている。

FSC認証を受けた国産ヒノキ材を使った木ダボ

近年国内でも徐々に、FSC認証を受けた木材を使った家具や建築などが増えている。そのなかでメーカーから、「製造に必須の木ダボが認証材でないために、認証材使用の製品と認められない」といった声やニーズがあり、キシルは今回の製造販売に至ったという。

木ダボは針葉樹に比べて硬い広葉樹が適していると言われており、FSC認証を受けた広葉樹の木ダボはこれまで流通していなかった。

広葉樹に比べ国内に豊富にある針葉樹で代替品ができないかと、同社は静岡県工業技術研究所との共同研究でヒノキ材を使ったダボの強度などを調べる実験を行ったところ、従来の木ダボと同等強度であることが証明され、発売を決めた。

浜松市はFSC認証林の面積が全国一だ。同社は地域内で調達した認証材を使って木ダボの製造が可能な強みを生かし、普及を進めたいとしている。

キシルの広報担当者は、「FSC認証の普及は、違法伐採の抑止にもつながる。違法な伐採で調達された安価な木材が国内市場に流れることを防ぎ、市場価格を安定させることは、林業の復興にとっても重要。今回の木ダボの発売が、FSC認証材を使用した木商品や建築などの普及にもつながってほしい」と話している。

同社は「日本で一番にほんの木を使う会社を目指」すとの企業理念を掲げ、国産材を使った机や椅子、棚などの製造・販売を行っている。1月末には、誰でもFSC認証の木製品を作れる環境づくりを目指し、認証材を供給するサービス「木曜日」を立ち上げた。

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