【エンタメ特集】
手掛けた大作映画、ドラマの一覧を見て、あらためて映画監督、佐藤純弥さん(86)のすごさを感じた。訃報は2月17日に伝えられた。「新幹線大爆破」「君よ憤怒の河を渉れ」「人間の証明」「野性の証明」「植村直己物語」「敦煌」「おろしや国酔夢譚」「男たちの大和/YAMATO」…2000年代までの半世紀近く、昭和・平成の時代を象徴する話題ヒットメーカーだったことが分かる。主な作品のロケや制作発表などの写真でをまとめてみた。
(共同通信=柴田友明)
【1975年 新幹線大爆破】
国鉄時代の新幹線を舞台にしたサスペンス。80キロ以下に減速すると仕掛けられた車内の爆弾が破裂するという設定で、主犯役の高倉健さん、運転指令室長の宇津井健さんが熱演。
【1976年 君よ憤怒の河を渉れ】
無実の罪を着せられた検事役、高倉健さんが主演。新宿で追い詰められた高倉さんを恋人役の中野良子さんが馬に乗って救いに来るという奇想天外のシーンが中国で大受け。億単位の人の心を打った。当時訪中した日本人は必ず現地でこの話題を聞いている。中国の映画人に強い影響を与えた。
【人間の証明 1977年】
原作は森村誠一さん。角川映画の代表作の1つ。岡田茉莉子さん、松田優作さん出演。
【未完の対局 1982年】
日中合作映画。戦争を挟んだ両国の棋士の物語、当時の日中友好ムードも反映。三国連太郎さん、紺野美沙子さんら出演。
【植村直己物語 1986年】
冒険家の植村直己さんが亡くなってちょうど30年、再び注目されています。西田敏行さん主演。
【敦煌 1988年】
井上靖さん原作、西田敏行さん、佐藤浩市さん出演。
【男たちの大和/YAMATO 2005年】
反町隆史さん、中村獅童さん出演。
【野性の証明 1978年】
森村誠一さん原作。高倉健さん、薬師丸ひろ子さん出演。「お父さん怖いよ。何か来るよ…」の薬師丸さんのセリフを覚えている人も多いのでは。自衛隊に好意的でない内容で今とは違い、防衛庁(当時)は撮影協力していない。薬師丸さんは1981年の映画「セーラー服と機関銃」で一躍トップスターに。
写真で振り返ると、高倉健さんや西田敏行さん演じるシーンが印象に残る。長期の中国や極地での撮影も大変だったと思う。1960年代のテレビドラマでは「キイハンター」など、丹波哲郎さん、千葉真一さん、野際陽子さん出演の作品でもメガホンを握った。多彩な作品を昭和・平成の二つの時代で作り続けた佐藤さんのご冥福を祈ります。