常勝ホークスを支える育成選手たち 驚異の韋駄天と剛球左腕が次の昇格候補!?

ソフトバンク・周東佑京(左)と川原弘之【写真:藤浦一都、福谷佑介】

千賀や甲斐らに次に続くのは…紅白戦で2人の育成選手が猛アピール

 今季3年連続の日本一を狙う王者ソフトバンクホークス。12球団で屈指の戦力を誇り、いまや常勝軍団となり、日本のプロ野球界でトップを走る存在となっている。

 豊富な戦力を誇るソフトバンク。潤沢な資金力を武器とした外国人補強などにも力を注ぐが、その一方で、チーム力を支えるのが、育成選手から昇格してきた選手たち。言わずと知れた千賀滉大投手や甲斐拓也捕手だけでなく、石川柊太投や牧原大成内野手も育成から這い上がった選手たちだ。

 昨季は、その年の育成ドラフト4巡目で入団した大竹耕太郎投手がシーズン途中に支配下に昇格。初登板初先発で初勝利をマークするなど、怪我人が続出した先発ローテの救世主となり、3勝をマークした。

 そして、今季もまた、ソフトバンクの育成選手に楽しみな存在がいる。その2人が20日に行われた紅白戦で結果を残してアピールに成功した。

 支配下昇格の最有力候補と言えるのが、今季2年目となる周東佑京内野手。驚異的な脚力を誇る周東はこの日、3安打の大活躍。5回に、2016年のドラフト1位・田中正義投手から三塁を強襲する当たり。三塁手のグラブを弾き、ファウルグラウンドに打球が転がると、一気に二塁を陥れた。

 さらに、続く田城の打席で、捕手がボールを僅かに弾く間に三進。田城の詰まった二ゴロで本塁を陥れた。自慢の走力をいかんなく発揮した。さらに次の打席では、巧みなバットコントロールで外野の前に落とす技ありの安打。さらに8回には一、二塁間を破る右前安打を放ち、3安打の大暴れだった。

 今季、工藤公康監督は盗塁増加などの“走塁改革”をテーマに掲げている。2017年の育成ドラフト2巡目で東農大オホーツクから入団し、昨季ウエスタン・リーグでチームトップの27盗塁を記録したその足は、今季のチーム方針にうってつけの存在。支配下昇格の可能性は限りなく高いと言えるだろう。

育成生活4年目となった09年ドラ2の川原もアピール成功

 もう1人が、8回に登板した川原弘之投手。2009年のドラフト2位で福岡大大濠高から入団した左腕だ。140キロ台後半のストレートを武器に栗原陵矢、川瀬晃を打ち取ると、川島慶三に対しての3球目に150キロをマーク。4球目にも150キロを計測すると、5球目にはこの日最速の151キロ。最後は変化球で空振り三振に仕留めて、1イニングを3者凡退に封じた。

 今宮健太や、西武からマリナーズへ移籍した菊池雄星と同期。2012年には最速158キロをマークしたが、相次ぐ故障で2015年オフに育成選手に転落。今季でプロ10年目、育成生活4年目となるが、それでもなおチームに留まっているのは、それだけポテンシャルを評価されている証と言えるだろう。

 2015年に手術した左肩も回復し、昨季はプロ人生で「初めて」1年間、怪我なく投げ切ることが出来た。故障の不安から脱し、今季は勝負の年。B組でキャンプを送るが、抜擢されたA組紅白戦で見事アピールに成功した。左の中継ぎはどのチームにとっても貴重な存在。ソフトバンクには嘉弥真新也という左キラーがいるが、このキャンプでは股関節痛のために出遅れており、川原にとってはチャンスといえる。

 現在、ソフトバンクの支配下登録選手は65人。支配下登録上限の70人には5人の余裕がある。ソフトバンクの貴重な戦力供給源となる育成選手。果たして、次なる“育成の星”となるのは……。(Full-Count編集部)

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