森きららがアマゾン通じ支援呼び掛け 全国から善意

 佐世保市船越町の九十九島動植物園(森きらら)が、米インターネット通販大手アマゾン・コムを介して動物の飼育用品や餌の寄付を募り、全国から支援品を受けている。入場者の減少や施設の老朽化に伴い、地方の動物園の多くは厳しい経営環境にある。アマゾンを通じた支援は国内では珍しく、運営・維持をする新しい手法として注目されそうだ。
 森きららは1961年に開園した。2015年度から指定管理者制度で市の第三セクター「させぼパール・シー」が運営している。しかし施設は老朽化。運営経費も限られている。一方で飼育係からは「動物の環境をよくしてほしい」といった要望があった。このため岩岡千香子副園長(41)を中心に昨年から改善方法を模索。海外の動物園ではアマゾンを介した寄付が普及していることを知り、導入を検討してきた。
 アマゾンには、自分が欲しい商品をリストにしてインターネット上で公開し、第三者に購入してもらう機能がある。森きららは飼育室の加湿器やクマが食べるクルミ、エサを入れるネットなどをリスト化。1月末にホームページ(HP)で公開し、動物にプレゼントしてほしいと呼び掛けた。
 公開後すぐに寄付の申し出があり、14日までに東北や九州などから約50品が届いた。岩岡副園長は「予想以上の反応。ありがたい」。飼育現場で働く比嘉奈津子さん(42)は「動物が生き生きとしている。私たちも元気をもらった」と笑顔。リストは随時更新しており、受け取った物品はHPに写真を掲載してお礼を伝えている。
 こうした取り組みは福岡県の大牟田市動物園も昨年12月に始めた。日本動物園水族館協会(JAZA)は「アマゾンを介して寄付を受ける仕組みは聞いたことがない。動物や水族館の運営・維持には多額の費用が必要。支援の輪が広がってほしい」としている。

アマゾンを介して寄付を受けた加湿器を使うスタッフ=佐世保市、森きらら

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