世界ラリークロス:元WRCドライバー、ジジ・ガリ率いるGGRXが2019年参戦に向け始動

 WRC世界ラリー選手権でミツビシのワークスドライバーを務めた経歴を持つジジ・ガリが、第2世代に進化したキア・リオRXスーパーカーを完成させ、自らのチームであるGGRXのオペレーションで2019年WorldRX世界ラリークロス選手権復帰に向けたテストを開始した。

 WRCではミツビシ・ランサーWRCを筆頭に、フォード・フォーカスRS WRC、プジョー307WRCなどワークスマシンからプライベート・スペックまで数々のマシンをドライブしたイタリア人の“ジジ”ことジャンルイジ・ガリは、第1世代となるラリークロス向けキア・リオRXスーパーカーで2015年のWorldRX母国イタリア戦に初参戦。

 その後も散発的に世界選手権へのチャレンジを続けていたが、2017年を前にハンガリー人ドライバーのルカック・コーネルにマシンを売却する決断を下していた。

 その後、同じくリオをベースにエボリューション・モデルの開発を続けてきたガリは、ラリークロスのトップコンテンダーたちと同じくフロントに冷却系を移設した第2世代モデルを完成させ、ふたたびWorldRXへの挑戦に向け意欲をみせている。

「僕たちはついにマシンを完成させ、ようやく最初の200kmほどテストを終えたところだけど、僕が経験したラリークロスカーと比較しても、これまでとはまったく異なる次元のマシンになっている」と、その完成度に自信をみせたガリ。

「現時点ではこのニューマシンの信頼性を確認することが最優先だけど、その後は今後の活動計画について前向きに検討する必要があるだろう」

 2019年に関しては、ガリ自身もこの新型RXカーをドライブして競技参加する意向ではあるものの、そのポテンシャルと可能性をフルに引き出すべく、経験豊富なラリークロス・ドライバーを探している、とも付け加えた。

「この新型マシンを初めてテストした後、僕はふたたびレースに参戦したいと考えた。それほどまでに、このマシンは僕にふたたび戦うモチベーションを与えてくれたんだ」とガリ。

GGRXチームが製作した、大幅改良のEVOモデルとなる『キア・リオRXスーパーカー』
「これまでに経験したラリークロスカーと比較しても、全く異なる次元のマシンになっている」と自信を見せるジジ・ガリ

「でも、最大の問題点はまだ僕自身に充分なラリークロスの経験がないことだ。世界選手権やヨーロッパ選手権(ユーロRX)で戦えるようなエキスパート・ドライバーを見つけることができれば、僕らのマシンの可能性が証明できると思うんだ」

 このGen2モデルというべきキア・リオRXスーパーカーは、以前のモデルからはUnic AB製のトランスミッションのみがキャリーオーバーされており、リヒテンシュタインに拠点を置くレーマン・モトーレンテクニーク(Lehmann Motoren-Technik)社が引き続きチューニングを担当したエンジンは、2リッター直列4気筒のキア製ブロックをベースにしながら、大幅な出力向上を果たしている。

「サスペンションのジオメトリーやロールセンター配置、重量配分などを含めてクルマ全体の構成がまったく異なるものへと進化している。だからマシンのハンドリングやバランスもこれまでと完璧に違っているんだ」と説明するガリ。

「例えば、以前のモデルではR5用の汎用品を使っていたアップライトだが、今度のモデルは新規に起こした専用設計品になっている。そのためラリークロスに特化した剛性と強度を保ちながら、より軽量に仕上がっているんだ」

「唯一変えていないのはトランスミッションだけど、これは以前から信頼性も操作性も満足のいくものだったからだ。それでも配置に関してはまったく異なる搭載方法に改められているけどね」

 ガリは1月末に地元イタリアの故郷にほど近い、北部ロンンバルディア州リヴィーニョで開催されたアイス・チャレンジ・チャンピオンシップに新型マシンを持ち込み、ゲスト参戦も果たしている。

2019年のWorldRX世界ラリークロス選手権復帰に向け、体制構築を急いでいる
テスト参戦した地元イベントでは、幸先良くクラス優勝も飾っている

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