ランタンの「広がり」

 「インスタ映え」の流行もあり、まちなかを赤や黄色の光がほのかに照らす風景は、ますます人気だったらしい。今年の長崎ランタンフェスティバルの人出は98万人に上り、これまでで3番目に多かった▲過去最多の昨年は17日間で106万人に上ったが、今年は期間が15日間の年としては最も人を集めたという。開催中、会場の近くまで車で行くと、道が混んでしばらく動けなかった▲人を集めたのはランタンフェスの会場に限らない。新地中華街に近い「出島和蘭商館跡」にも流れたらしい。出島のそばで、中国人とおぼしい人から中華街への道を英語で尋ねられ、地図を指さしながら教えた、と身近なところで聞いた▲長崎市に尋ねてみると、ランタンフェス期間中の今月9~11日(土・日曜・祝日)は、出島にしても、稲佐山山頂とふもとを結ぶロープウエーにしても、昨年の同じ時期に比べて客数が伸びたという▲泊まりがけで長崎を観光で訪れ、ランタンフェスばかりでなく出島を見る。世界新三大夜景の一つを見る。そういう広がりが感じられる、と▲平日、出島や夜景にもどうやって人を引き寄せるか思案どころらしいが、長崎観光にまだ「伸びしろ」あり、だろう。温かなランタンの光は長崎市のほかの観光資源をも照らし出して、今年の幕を閉じた。(徹)

© 株式会社長崎新聞社