認知症カフェ “花”で彩り スタッフの紫原さん 和服再利用し制作 諫早

 長崎県諫早市で開かれている認知症カフェ「オレンジほっとカフェ諫早」の会場を明るく彩る“花”がある。黄や白、紫の花びら、緑の葉、焦げ茶色の枝-。同カフェのボランティアスタッフ、紫原ひとみさん(63)が和服を再利用して作りあげた。本物のような緻密な仕上がりと華やかなアレンジで、参加者の心を和ませている。
 紫原さんは20代後半から、ペーパーフラワーやアレンジなどを独学で習得。和服の大島紬(つむぎ)や絣(かすり)を使った「花作り」に出合い、十数年前から家事などの合間に打ち込んでいる。
 和服独特の文様や柄の中から“花”を構成する色を選び、花びらや葉の形に切る。裏側に別の生地を重ね、形崩れを防いだり、重厚感を出す工夫も。花びらや葉などのパーツを枝に組み立て、一本の“花”に仕上げてゆく。
 同カフェでボランティアを始めて約4年。多良見町での定期開催が始まった1年余り前から、月ごとに季節感あふれる“花”のアレンジを披露している。12日は、黄の花が愛らしいレンギョウ、紫と白のストック、スイセンの3種類が彩った。初参加の女性は「本物みたいに香りがしそう」と出来栄えに驚いていた。
 昼食付きのカフェの日は、紫原さん手作りの和紙の箸袋も登場。クリスマスリースや節分の鬼などがあしらわれ、会話を弾ませる。「カフェに来る皆さんの笑顔が創作の源」と紫原さん。喜んでくれる顔を思い浮かべながら制作にいそしんでいる。

和服を再利用して作った“花”をカフェ参加者と楽しむ紫原さん(左)=諫早市多良見町

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