片山さつき地方創生相 対馬でインタビュー 国境離島の人口維持を支援 「まち・ひと・しごと」第2次戦略 国土保全の概念も

 昨年10月に発足した第4次安倍晋三改造内閣で「地方創生」のかじ取り役を務める片山さつき地方創生担当相。16日、視察のため対馬市を訪れた同氏に、今後の県内の人口減少対策や地域活性化策について聞いた。
 -2014年の第3次安倍内閣で「地方創生」が掲げられて5年。人口減少対策の5カ年計画「まち・ひと・しごと創生総合戦略」は19年度が最終年度となる。これまでの成果は。
 全自治体で人口減少への歯止めを考えなければいけないという意識が徹底した。一方、2020年の東京五輪に向け、昨年も13万6千人の東京圏への人口流入超過となってしまった点では、道半ばだと思う。
 -今後策定する第2次総合戦略では、20年度からの5カ年を見据えることになる。国が目指す地方創生のイメージは。
 東京圏に人口が集中し過ぎることは、国土保全の点でも良いことではない。対馬が最も典型的な例だが、有人国境離島や重要な水源地については、地域コミュニティーを維持するためにさらなる支援を行い、優遇していきたい。
 -一昨年から国境離島新法が施行された。
 地域の雇用が拡充され、良かった。第2次総合戦略ではこの枠組みにとどまらず、「地方創生」という国策に国土保全の概念を入れていきたいと思っている。自治体も地方創生戦略の中に、もっとその部分を入れることができる。国境離島の人口を維持し、この古里が在り続けるということが計画として見えるよう、国としてお手伝いしたい。
 -国境の島、対馬では韓国人観光客が7年連続で増加し、昨年は約41万人と過去最多だった。一方、日本人観光・ビジネス客は近年、13万人程度で推移しており、伸びが低い。
 歴史上、徳川幕府から「通信を再開せよ」と言われた場所なので、(韓国人観光客の来島があるのは)当然だろう。ただ、日本の地理的要衝としてあり続けている対馬は、国が責任をもって支援するべきだ。対馬のみならず、有人国境離島に修学旅行が来たら何か優遇できないかと考えている。また、日本人観光客や家族連れでの帰省に交通費の補助などができるといい。
 -本県では年間1万人、対馬では600人ペースで人口減少が進んでいる。
 曽祖父が大村市出身で、長崎は私のルーツの地でもある。人口減少は待ったなしだ。良い意味での危機感を持ち、大胆で、従来の枠にとらわれない発想で提言をいただきたい。
 -新年度予算案には1千億円の地方創生推進交付金を計上している。
 4月からは(外国人労働者の受け入れを拡大する)改正入管難民法が施行される。外国人労働者がいなかった地域ではカルチャーショックも考えられるので、「外国人との共生」という目的で予算を使える形にしている。先月末締め切り時点ですでに10件くらい応募がある。良い事例があれば参考に展開してほしい。

第2次「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に向け「有人国境離島などにさらなる支援をしていきたい」と語る片山地方創生相=対馬空港

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