王貞治が断トツ、松井&小笠原が10傑入り…今季達成が予想される記録【長打率】

通算長打率1位の王貞治氏【写真:Getty Images】

通算868本塁打の王貞治はここでも圧倒的、助っ人も4人が10傑入り

 長打率(Slugging Percentage=SLG)は、塁打数を打数で割ることで導き出される指標だ。タイトルではないが、打者の評価基準として重要視される。

 塁打は本塁打4、三塁打3、二塁打2、単打1の合計なので、本塁打が多い選手は長打率が高い。またそれに次いで打率が高い打者も長打率が高くなる。NPBでは4000打数以上の打者の通算長打率を公表している。

◯4000打数のNPB通算長打率10傑()は実働期間。

1 王貞治 長打率.634(1959-1980)
2 カブレラ 長打率.592(2001-2012)
3 松井秀喜 長打率.582(1993-2002)
4 落合博満 長打率.564(1979-1998)
5 Tローズ 長打率.559(1996-2009)
6 ブーマー 長打率.555(1983-1992)
7 中西太 長打率.553(1952-1969)
8 リー 長打率.5419(1977-1987)
9 山本浩二 長打率.5416(1969-1986)
10 小笠原道大 長打率.540(1997-2015)

 NPB史上最多の868本塁打を記録した王貞治がこの分野でも断トツの数字を残している。長打率.600は、NPBでは王だけ。MLBではベーブ・ルース(.690)、テッド・ウィリアムス(.634)、ルー・ゲーリッグ(.632)、ジミー・フォックス(.609)、バリー・ボンズ(.607)、ハンク・グリーンバーグ(.605)の6人だ。

 NPBの長打率10傑には、4人の外国人選手が名前を連ねている。外国人選手の実働期間は短いが、その期間に本塁打を量産する。積み上げ型の数字ではない長打率部門では、有利になるのだ。平成以降デビューの日本人選手では、松井秀喜と小笠原道大がランクインしている。

現役トップは西武中村、4000打数以下ならバレ&柳田&山田哲&山川がハイレベル

◯4000打数以上の現役選手の長打率10傑

1 中村剛也(西)長打率.530(2003-2018)
2 福留孝介(神)長打率.501(1999-2018)
3 阿部慎之助(巨)長打率.496(2001-2018)
4 松田宣浩(ソ)長打率.475(2006-2018)
5 糸井嘉男(神)長打率.460(2007-2018)
6 浅村栄斗(楽)長打率.45669(2010-2018)
7 青木宣親(ヤ)長打率.45665(2004-2018)
8 中島宏之(巨)長打率.453(2002-2018)
9 秋山翔吾(西)長打率.451(2011-2018)
10 内川聖一(ソ)長打率.447(2001-2018)

 現役では本塁打王6回の西武の中村剛也が1位。続いて阪神の福留、巨人の阿部の順。2011年の統一球導入以降、本塁打が減少する傾向が続いたこともあり、通算長打率で上位にランキングする選手は少ない。

 しかし、4000打数未達の選手の中には、長打率5割以上の強打者もいる。

バレンティン(ヤ)/長打率.559(2011-2018)3103打数
柳田悠岐(ソ)/長打率.548(2011-2018)2875打数
山田哲人(ヤ)/長打率.529(2012-2018)3078打数
山川穂高(西)/長打率.599(2014-2019)953打数

 2013年にNPB記録のシーズン60本塁打を記録したヤクルトのバレンティンは順調に試合に出場すれば、再来年にも4000打数に達し、ランキング上位に名を連ねそうだ。

 ソフトバンクの柳田は、打率が高いことも高い長打率に貢献している。同じくトリプルスリーのヤクルト山田も有望。西武の山川は昨年、初めて規定打席に達したばかりだが今後が楽しみだ。

 MLBでブームになっている「フライボール革命」の波がNPBにも少しずつ及んでいる。今後は長打狙いの打者が増える可能性がある。長打率の動向に注目したい。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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