ザ・ヒュルイド・プロジェクト
マンハッタン区ノーホーに昨年できた「ザ・ヒュルイド・プロジェクト」は世界初とうたう「ジェンダーフリー」のアパレルショップだ。男性、女性用の区別のない服や雑貨数百点が並ぶ。店全体が一つの売り場で隔たりがなく、「ここはメンズ? レディース?」と気にしなくて済む感覚は新鮮だ。
「このデニムコレクションは数週間前に始めたばかりよ」とお店のブリジット・テイシェイラさんが説明する。「100%ジェンダー・フリー・デニム」と銘打った商品、対象のサイズは大人か子供か尋ねると「誰でも着られるわ。もちろん、性別関係なくね」と笑う。
Phluid(ヒュルイド)は、男女両方のファッションを着こなすことなどを指す「ジェンダーフルイド(genderfluid)」に由来する造語で、pHは酸性かアルカリ性かの指標、fluidは流体を意味する。店内の商品の約半分はオリジナルでロゴが入るなどしている。残りはリーバイスなどのブランドを扱う。LGBTを象徴するレインボー柄のパーカーなどのほか、バレンタイン向けにショッキングピンクや真っ赤な衣服を集めたコーナーも。
ちなみにマネキンは特注で、男女の身体的特徴を持たない。トイレには「ジェンダーニュートラル」のサイン。インスタグラムに写真を投稿しやすいよう、キラキラのピンクで彩った撮影室は誰でも使える。他に、無料のWiFiを完備し、一休みできるバーを併設。「ゆったり過ごし、お客さん同士で何か交流が生まれたら」とテイシェイラさんは願う。
ジェンダーフリーの商品を手掛けるアパレルブランドは世界的に増えつつあるが、1着数百ドルと高い傾向にある。ヒュルイドは多くの人が性差のないファッションを楽しめるようにとの理念で、1着数十ドルの品ぞろえも充実させている。立地の良さもあり、1日数百人は来店するそうだ。
創業者のロブ・スミスCEOは「服はあった方がいいかな? 何も着てない方がいい?」と冗談めいて撮影に応じながら、今後の展開を語る。「まず世界に15店は出したい」と意気込み、日本へも具体的な出店計画を練っているらしい。
せっかくなので編集部の女性スタッフも試着させてもらった。試着室も男女共用。店員オススメの「GENDER BENDER」(「性別を見分けられないような服装の人」といった意味)とプリントされたTシャツを着る。決まっている?