大涌谷全面再開 安全対策検討へ 箱根山火山防災協議会

 県や箱根町、事業者などによる箱根山火山防災協議会は21日、火山ガスの影響で閉鎖が続く大涌谷自然研究路の再開に向け、2019年度に安全対策の検討を行うことを決めた。噴石から身を守るためのシェルターや避難路などの整備にも引き続き取り組む。

 研究路を除いたエリアでの限定的な開放にとどまっている大涌谷園地の全面再開は、ぜんそく患者など、火山ガスの影響を受けやすい「高感受性者」の安全確保が大きな課題。協議会は専門家へのヒアリングを重ねており、必要な対策についてさらに議論する。

 また、現在進めている観光客の避難誘導マニュアルなどの修正作業を18年度中に終え、訓練を実施して課題を検証する方針だ。

 協議会会長の黒岩祐治知事はこの日の会合で「監視と情報伝達、避難誘導に気を緩めることなく取り組んでいく」と表明。副会長の山口昇士箱根町長は「研究路の再開が残る課題だが、安全が第一。人的被害ゼロを継続したい」と述べた。箱根ロープウェイからは「大涌谷駅舎の拡張工事が3月末にも完了し、収容可能な避難者数が200人増の800人になる」と報告された。

新年度の取り組み方針などを確認した箱根山火山防災協議会=県庁

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