クラーク・グレッグが語る「マーベル エージェント・オブ・シールド」の魅力

クラーク・グレッグが語る「マーベル エージェント・オブ・シールド」の魅力

マーベル映画でおなじみの組織・シールドの活躍を描くテレビシリーズ「マーベル エージェント・オブ・シールド」。映画「アベンジャーズ」(2012年)の1作目で死んだと思われていたフィル・コールソンが実は生きており、彼と彼のチームが、さまざまな怪事件に挑むという壮大なスケールのアクションものだ。映画「アイアンマン」(08年)以来、10年にわたってコールソンを演じているのは、今やハリウッドのトップ俳優に仲間入りしたクラーク・グレッグ。シーズン5では、初めてエピソードの監督まで務め、大活躍している。

コールソンの存在意義は、チーム作りにあると思う

── コールソンという役どころをどのように捉えていますか?

「“マーベル・ユニバース”における彼の存在意義は、チーム作りにあると思う。独自の強さを持った多様な人々を集めて、素晴らしいエリート・チームを結成するんだ。彼がトニー・スターク=アイアンマンに会った時も、そうしたいと思っていたんだよ」

── コールソンは変化し続けていますが、これまでの決定的瞬間は?

「たぶん、ヘリキャリアの中で殺され、しばらく死んでいたことを知った時だね。彼はあるテクノロジーで蘇生したけど、記憶を消されてその秘密を知らなかった。自分がそのプロジェクトに関わっていて『これは絶対に誰にも使っちゃいけない。これはひどい。どんな問題が起きるか分からないんだ』と言っていたことをね。コールソンには実に多くの進化があった。誰かが『“マーベル・ユニバース”でコールソンの物語に費やされた時間は、ほかのどのキャラクターよりも長い』と書いていた。それにはとても驚いたよ」

── 今回のシーズン5は、SF色が濃くなりましたね。

「シーズン4はとてもうまくいったと思う。一つはロビー・レイエス=ゴーストライダーで、彼らはそれをリブートすることに成功したこと。そして、LMD(人工知能アンドロイド)も見事だった。また、コールソンらはフレームワーク(バーチャル・リアリティー)の中に入り、同じキャラクターの違うバージョンを見せることができた。とてもクリエーティブだよね。物事がうまくいっている時には同じことを繰り返して、『またゴーストライダーをやろう』とかなるものだけど、彼らはまた一から始めたんだ。脚本家やプロデューサーにとって、それは勇気がいることだ。シーズン5では、コールソンらは宇宙にいることは分かっているが、それ以上にそこに潜んでいる事実にすぐに気付く。『エイリアン』や『スター・トレック』(ともに1979年)といったSF映画を見て育った者にとって、薄汚く、機能不全で未来的なSF世界にいられるのは、とてもワクワクすることだよ」

── シーズン5での最大のチャレンジは何でしたか?

「今シーズンの6話目を初めて監督したことだね。前にもそういう話が1、2度出たことがあった。僕は、監督と役者の仕事を両方やることができるだろうかと最初は心配だった。僕の中のコールソンが、『いやいや。ミッションに集中しないとダメだ。気が散るようなことはできない』と言っていたんだ。でも今回、挑戦してみたら本当に素晴らしい体験になった。ほかの役者やスタッフたちと、突然これまでとは違う形でコラボレートすることになり、撮影初日の前夜は眠れなかったけど、その日が終わる頃には『ずっと前にやるべきだった。こんなに楽しいなんて』と思ったよ。みんながとても応援してくれて、あのエピソードで、自分たちの最高のものを見せてくれたんだ」

── ほかのプロジェクトなど、これからも監督をやりたいと思いますか?

「僕は数本、インディペンデント映画を監督したことがある。監督するのは大好きだよ。ストーリーをビジュアルで語るのが大好きだし、役者たちと一緒に仕事をするのも大好きだ。でも、このシリーズの1シーズンの撮影に9カ月かかるから、シーズンとシーズンの間の短い休みの間に何かを監督する時間はない。そのことをとても寂しく思っていた。だから、今回また監督する機会が持てたのはとてもうれしかったよ。それも、今までの監督作とは全く違う作品を手がけられたしね。このシリーズは、ビジュアルエフェクトを使った小さなマーベル映画みたいなんだ。スーパーパワーとの壮大な戦いが、とてもクールだ。ぜひ、また監督したいよ」

── このシリーズが始まって以来、ほかにもマーベルの作品がたくさん作られています。

「マーベルというラベルがついている作品は何でも、気を付けて見ているよ。ある意味、兄弟のように感じるからね。それらは一つの壮大なストーリーなんだ。全部がいつもつながっているわけじゃないけど、どこかの時点でつながるのだろうと思う」

── 今シーズンには、記念すべき100話目のエピソードがありますね。

「とてもエキサイティングだよ! 脚本家たちはよく分かっているから、単純なことにはならない。トニー・スタークの登場を期待していたら、がっかりさせることになるね。でも、フィッツとシモンズの新しい展開、そしてデイジーのさらなる進化を見たければ、期待していいよ!」

舞台で演技力を磨いてきた実力派で、ロバート・ゼメキス監督の「ホワット・ライズ・ビニース」(00年)の脚本を手がけたりもしている多才なクラーク。3月15日公開の映画「キャプテン・マーベル」にもコールソンが登場するので、こちらも楽しみだ。

【プロフィール】


クラーク・グレッグ Clark Gregg
1962年4月2日生まれ。米・ボストン出身。映画「アイアンマン」(08年)、「マイティ・ソー」(11年)、「アベンジャーズ」(12年)とマーベル・ユニバース作品に出演。映画「ホワット・ライズ・ビニース」(00)の脚本を担当し、インディーズ映画2本を監督している。

【番組情報】


「マーベル エージェント・オブ・シールド シーズン5」
Dlife
3月9日スタート
土曜 午後9:00~10:00ほか(二カ国語)/深夜2:42~3:28ほか(字幕)

国際平和維持組織シールドの活躍を描くシリーズのシーズン5。何者かに捕らえられたエージェントのコールソンらチームのメンバーは、宇宙ステーションのようなところで目覚める。そこは未来の宇宙で、クリー人が人間たちを監視していて…。

取材・文/吉川優子

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