「平和な島」へ重大岐路 民主主義 不断の努力を 96年県民投票を主導・渡久地政弘さん(連合沖縄元会長)に聞く

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 1996年に米軍基地の整理縮小などの是非を問う全国初の県民投票を実現させた当時の連合沖縄会長の渡久地政弘氏(80)に、今回の辺野古新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票の意義や期待を聞いた。

 ―基地問題を問う2回目の県民投票となった。

 「新基地が造られると沖縄は半永久的に基地の島になる。子々孫々まで基地の島になるのか、食い止めて沖縄が希望する基地のない平和で豊かな島づくりにつなげるのか、現状は大きな分かれ道にある。それを考えると歴史的に重要な意義を持つ。若い世代が中心になって実施を直接請求した重みのある県民投票だと理解している」

 ―自民や公明などが静観している。

 「条例を制定させた各政党には参加を呼び掛ける責務がある。ちゃんと参加して賛成、反対などの議論を自由にしたらいい。不参加はデメリットしかない。憲法が保障する自由や権利は国民の不断の努力で保持しなければならない。逆に解釈すると努力しなければ自由も権利も保障されないという警告でもある。投票に行くことは、その努力の一つだ。不参加は民主主義を弱体化させる。まずは参加することが大切だ」

 ―意義を高める成果とは。

 「前回の県民投票は失敗すると指摘されながら、投票率は約60%で、基地の整理縮小の賛成票も全有権者の過半数を上回った。日本の民主主義を進歩、成熟させることに貢献した。全国初の体験を県民が共有したという大きな成果を得た。しかし普天間飛行場の撤去を明示できず抽象的な表現になってしまい、結果的に条件付きで県内移設にすり替えられてしまった。それが辺野古問題につながっている。今回はどうしても前回と比較される。前回を超えるものになってほしい。ハードルは高いが日米両政府に強いインパクトを必ず与える」

 ―県民投票の先に何を期待するか。

 「米軍統治時代は憲法も労働3法もない。知事に当たる行政主席も選べなかった。われわれは権利や民主主義を一つ一つ勝ち取ってきた歴史がある。だから闘い続けている。今回も圧倒的な民意を示すことができれば、切り札として政府に迫り譲歩させ、実のある対話にもっていけるはずだ。前回は抽象的だったが、今回は具体的に一つの問題だけを問うている。辺野古解決まで長く交渉に使い続けられる。圧倒的民意を後ろ盾に、運動が『嘉手納基地の返還に向くぞ』と強気にも出られる」

 「今、アメリカでも現大統領の下で民主主義への危機感が高まっている。辺野古問題と共通項がある。アメリカ世論を巻き込める。連携できれば世界に衝撃を与えることもできる。環境や人権、平和、正義といった国際社会の普遍的価値観と響き合う運動に作り上げてほしい」 (聞き手 謝花史哲)