国民民主党にアントニオ猪木氏はいらない?参議院選に向けた小沢氏・猪木氏・玉木氏それぞれの思惑(安積明子)

アントニオ猪木議員の「国民民主党会派」入り

国民民主党にアントニオ猪木氏はいらない?参議院選に向けた小沢氏・猪木氏・玉木氏それぞれの思惑

アントニオ猪木参議院議員が2月21日、都内のホテルで国民民主党と自由党の院内会派入りを発表した。国民民主党の玉木雄一郎代表と自由党の小沢一郎共同代表も出席し、会見場のひな壇の上で猪木氏を挟んで3人が並んだ。

ところが満面の笑みを浮かべる小沢氏に比べ、玉木氏の表情がいまいち冴えないように見えた。

「参院の第一会派がどうなるかということを頭に入れずに、これからもやっていきたいと思う」

「大きな塊を作る」と主張し、猪木氏を歓迎すると述べた玉木氏だが、猪木氏の入党を危惧する国民民主党の支持母体の連合がカンカンだという。

支持母体から入党への危惧が?!

「もし猪木氏が国民民主党に入れば、次期参議院選で比例区の議席を持っていかれてしまう」

実際に時事通信が行った2月の世論調査によると、国民民主党の政党支持率は0.3%で、このままでは今夏の参議院では比例区で1議席も危うい状況だ。一方で国民民主党には次期参議院選で改選を迎える連合系の候補が控えている。2013年の参院選で民主党(当時)が取得した比例区の票数は713万4215票だが、このうち当選者を見ると、自動車総連は27万1553票で、電力総連は23万5917票、東芝労組は15万2121票だ。2016年の参院選比例区の得票数を見ても、電力総連は27万285票、自動車総連は26万6623票、パナソニック労組は21万5823票でゼンセン同盟は19万6023票。いずれも2013年に日本維新の会から出馬して35万6605票を獲得した猪木氏にかなわない。

一方で自由党は、2016年の参院選で生活の党として取得したのは106万7300票で、青木愛氏ひとりが当選した。2013年の参院選では94万3836票を得票し、当選者はいなかった。もし猪木氏を迎えれば1議席は獲れる計算になるが、それだけで小沢氏は満足しないだろう。小沢氏が描くのは、国民民主党を飲み込み、野党の大連合を実現することだ。

会見が初対面

「実を言うと、(玉木氏と)今日初めてお会いした」

会見で猪木氏が述べたように、猪木氏の会派入りでさえ、玉木氏は蚊帳の外に置かれていることが伺える。
なお自由党の政党支持率は国民民主党と同じ0.3%。1月に統一会派を組んだ2つの政党の支持率が同じというのは「仲が良い」というよりも国民民主党にとって危機になる。除籍処分が決定した藤田幸久参議院議員を除けば、国民民主党は衆参あわせて57名。わずか6名の自由党と同列では困るのだ。

「どちらの党からも誘っていただけませんでした」

記者から国民民主党あるいは自由党に将来入党するのかと質問を受け、猪木氏がこう答えている。何よりも数がものをいう政治の中で、果たして猪木氏の国民民主党入りはあるのか。

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