豪州SC:ニック・キャシディがエレバスの最新ホールデン・コモドアZBをテスト

 2017年のスーパーGTチャンピオンであり、2018年はGT500、スーパーフォーミュラの双方でドライバーズランキング2位を記録したニック・キャシディが、VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーの“評価日テスト(Evaluation Day)”に参加し、エレバス・モータースポーツのホールデン・コモドアZBのテストを行った。

 オーストラリア・メルボルン近郊に位置するウィントン・モーターレースウェイで行われたテストに姿を見せたキャシディは、エレバス・モータースポーツのエースカーとしてVASCに参戦するデビッド・レイノルズの9号車、ペンライト・レーシングの最新型ホールデン・コモドアZBをドライブした。

 キャシディはこの日、VASCの下部シリーズとなるダンロップ・スーパー2に旧エレバス製シャシーで参戦するイメージ・レーシングのジョーダン・ボーイズとセッションをシェアする形で、自身初となる最新世代Gen2規定スーパーカーのステアリングを握った。

 すでに開幕前公式テストの日程を終えているVASCシリーズだが、エレバスはこの評価日を利用してフィリップアイランドの単日では終えられなかったテスト項目の続きを消化し、開幕戦スーパーループ・アデレード500に向けたセットアップと新パーツの評価を行った。

 すべてのVASC参戦チームには、公式日程に組み込まれる複数回のテストに加えて、年間1日のみこうした評価テストの実施が許可されており、新人やルーキーの育成、評価の機会が与えられている。そのテスト参加条件はVASCの現役レギュラードライバー、もしくは過去3シーズンでフル参戦経験のあるドライバーは不可とされ、前年度に5戦以上エントリーしたドライバーも除外される。

初タッグを組んだ平川亮と、2017年にはスーパーGTのGT500王者に輝いた
VASC公式テストではホールデン勢最上位を記録したデビッド・レイノルズとエレバス・モータースポーツ
2018年はスーパーフォーミュラでも初勝利を記録したニック・キャシディ。ランキングも2位まで躍進した

 現在24歳でニュージーランド出身のキャシディは、エレバスのエースを務めるレイノルズと友人関係でもあり、同チームCEOであるバリー・ライアンとは2012年のNZスーパーツアラー・チャンピオンシップでともに戦った経験もある。

 シングルシーターで順調にステップアップを果たしていったキャシディは、フォーミュラ・ルノーやユーロF3を経て日本へとわたり、2015年に全日本F3選手権でチャンピオンを獲得。

 その後の活躍は衆知のとおりで、日本のモータースポーツシーンを代表するトップドライバーへと登り詰めたキャシディは、平川亮とのペアで2017年にはGT500王者に。昨季はスーパーフォーミュラでも待望の初優勝を飾り、同シリーズランキング2位へと躍進している。

 2019年シーズンに関しても引き続きトヨタ、レクサス、そしてトムスとの契約に強いコミットを示しているキャシディは、今季耐久カップ登録でのVASC参戦は行わない方針だが、エレバスとしてはその先の未来に向け可能性を模索する狙いもあるようだ。

 またキャシディ自身もこれまで複数回のスーパーカー参戦経験を持っており、2011年にはグレッグ・マーフィー・レーシングでスーパー2シリーズの数戦にエントリーしている。

 テスト当日のウィントン・モーターレースウェイにはエレバス9号車のほか、ケリー・レーシングのルーキー、ギャリー・ヤコブセンのニッサン・アルティマ3号車や、ブラッド・ジョーンズ・レーシング(BJR)のマコーレー・ジョーンズらも姿を見せ、今季からフルタイム参戦を果たす新人勢もマイレージを重ねるべくテストに励んでいた。

 2019年VASC開幕戦はいよいよ次週、2月28~3月3日のスーパーループ・アデレード500のストリート・サーキットで幕を開ける。

2019年シーズンから『フォード・マスタング』と戦うことになったGen2規定2年目の『ホールデン・コモドアZB』
2018年GT500では惜しくもランキング2位。今季もGT500でタイトル奪還を狙う
先の公式テストでは、95dBの騒音規制に引っかかるトラブルで早めに切り上げる事態となっていた

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