【MLB】マリナーズ指揮官から菊池雄星に送られたアドバイス「目指すは10月なんだ」

マリナーズ・菊池雄星【写真:田口有史】

キャンプイン後初ブルペンで50球「捕手に止められた」

 今季、西武からマリナーズに移籍した菊池雄星投手は、ここまでブルペンでの投球練習、「ライブBP」と呼ばれる実戦形式での投球練習を行い、オープン戦“デビュー”に向けて着々と準備を進めている。キャンプ地アリゾナ特有の乾燥した気候も相まって、NPB球に比べて滑りやすいとされるメジャー球の対応にも、握りを変えるなどいろいろな工夫を重ねているようだ。

 日米球界の大きな違いと言えば、キャンプ中の練習量の差、練習時間の長さにある。米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」では、その練習量の差に焦点を当て、日本人左腕が直面する「アジャスト」について特集を組んだ。

 日本とメジャーの練習量の差はどのくらいあるのか。記事では、2015年に西武に在籍したマリナーズ左腕ウェイド・ルブランが、宮崎での春キャンプを「あれは異常だった」と振り返っていることを紹介。外国人選手にはメジャー流の調整が認められていたが、日本人選手は球場から夜7時過ぎに宿泊ホテルに戻ってくることも。それでも翌朝には全快しているようで「あれが日本のやり方なんだと思う」と話したという。

 メジャー1年目の菊池も例に漏れないようで、早速キャンプで“練習好き”な一面を披露した。特集では、2月13日(日本時間14日)に行われたキャンプイン後初めてのブルペン投球で「この時期では他の誰よりも高い強度で50球を投げ込んだ」と紹介。「捕手に投げるのを止めるように言われたほどで、さもなければ投げ続けていた」という。メジャーでは、投手がブルペンで投げるのは30球ほどで、特にキャンプ序盤に50球投げる投手はほとんどいないだけに、米記者の目には菊池が異質に映ったようだ。

「今日は2月13日だ。私たちが目指すのは10月なんだよ」

 新天地にやってきて、気負いすぎている部分があるのかもしれない。初ブルペンを終えた日、スコット・サービス監督は27歳左腕を監督室に招き、「今日は2月13日だ。私たちが目指すのは10月なんだよ」とカレンダーを指差しながら説明。キャンプ序盤で飛ばしすぎずに、本当の戦い=10月のプレーオフこそ本領発揮の場であることを伝えたという。

 菊池が「日本では投げたい時に投げたい分だけ投げていた」と話したことに触れながら、記事では「メジャーでは質が量に勝る」と指摘。日本人左腕が直面する最大のアジャストは、これまで量を重視していた練習を、うまく休みを挟みながら質で置き換えることだと提言している。

 これまで海を渡った日本人投手たちは、試行錯誤を繰り返しながらメジャー流に近い練習方法を自分なりに見つけてきた。菊池もまた、様々な方法を模索しながら、メジャー投手としての調整法を見出していく。(Full-Count編集部)

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