100日間の荒行達成 35年ぶり本蓮寺で帰山式

 長崎市筑後町の本蓮寺で22日、100日に及ぶ日蓮宗の大荒行を初めて成し遂げた山田浩嗣副住職(36)の「帰山式」があった。
 大荒行は毎年11月1日~2月10日まで、千葉県市川市にある大本山、中山法華経寺に全国から集まった僧侶が、大荒行堂にこもる厳しい修行として知られる。早朝3時に始まる水行は1日に7回。梅干しと白がゆ程度の質素な食事は2回だけ。それ以外はひたすら読経に打ち込み、山田副住職は15キロも体重が落ちた。荒行を終えたことで「修法師」として木剣を使う特別な祈祷(きとう)を行うことができるようになったという。
 式に先立ち、山田副住職を含む福岡、長崎両県の行僧9人と檀(だん)信徒らの列は長崎市尾上町のJR長崎駅高架広場を出発。題目を唱えながら、うちわ太鼓を響かせて寺まで歩いた。本堂前では、行僧たちがふんどし姿で水行を披露。水の冷たさをかき消すように声を張り上げる姿に、大勢の檀信徒が手を合わせながら見守った。
 同寺で35年ぶりとなった帰山式では、鍛え上げた行僧たちによる重厚な読経が本堂に響いた。山田副住職は「1人ではここに立つことはできなかった」と感謝し、「行を出た後が本当の修行。恩に報いるため、ますます精進したい」と誓いの言葉を述べた。
 行僧一行は、数カ月間それぞれの寺を巡って帰山式に参加。23日は長崎市川口町の瑞光寺で、森慈徳さん(38)の帰山式がある。

檀信徒が見守る中、水行を披露する山田副住職(中央)=長崎市、本蓮寺
本蓮寺に向かう山田副住職(中央)=JR長崎駅高架広場

© 株式会社長崎新聞社