利便性の陰で

 夜中に小腹が空いた時、軽食を調達に出かける。朝の出勤時に立ち寄ってコーヒーを飲む。24時間いつでも開いている街角のコンビニは、日常生活に欠かせない存在だ▲そんなコンビニを大阪府東大阪市で運営するオーナーが先日、人手不足のため、やむを得ず営業時間の短縮に踏み切った。するとコンビニチェーンの本部から、違約金約1700万円が発生すると通告されたという▲チェーン本部は顧客の利便性確保のために、24時間営業が必要としている。だが、それを支える働き手は、労働人口の縮小を背景にして、時給を上げても確保が難しくなっている▲従業員が見つからなければ、オーナーは自ら店頭に立って働き続けなければならない。「8カ月で3日しか休みを取れていない」という訴えは悲痛だ▲ゆとりある働き方が推奨されているが、コンビニオーナーのような自営業者はその枠外にいる。東大阪のように働き過ぎに陥っているケースは珍しくないとも聞く。そうであれば一律24時間営業という現在の運営の在り方は、地域によっては限界に来ているのかもしれない▲深夜でも開いているコンビニは確かにありがたいが、接客する側は生き生きと働けているだろうか。働く側の事情に合わせたコンビニ営業の形を検討してみてもよさそうだ。(泉)

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