【平成の長崎】内村選手 体操個人総合連覇 故郷の思い 届いた

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 この思い、リオに届け-。応援に詰め掛けた300人超が、祈るように中継画面で内村航平選手の演技を見詰めた。1位と1点近い差をつけられ迎えた最後の鉄棒種目。「諫早の星」が完璧な演技を見せ、土壇場で2連覇の偉業を成し遂げた。両手を高々と突き上げる人、立ち上がって抱き合う人-。最高の逆転劇に、パブリックビューイング会場の諫早市中央体育館は熱気と興奮に包まれた。
 父和久さん(55)は、最前列で喜びを爆発させた。2位で追いかける展開に、内心ひやひやだったと明かす。それでも「鉄棒はばっちり。さすが世界チャンピオンです」と息子を褒めたたえた。
 「最後まで諦めないって、こういうことなんだ」。妹の春日さん(25)は声を震わせ、兄の精神力に感服した表情。途中、2位に終わる可能性も頭をよぎったが、兄の顔は自信に満ちていた。「普段の練習がその源だと思う。感動をありがとうと伝えたい」
 京都市から遠路応援に駆け付けた中学校校長、徳地守さん(54)は「この場にいられて幸せ」と興奮気味。「他の選手の結果を気にせず、最後まで自分の信じた美しい体操をやり通した」とたたえ、「始業式では、さっそく生徒にも今日感じたことを伝えたい」と笑顔がはじけた。大村市桜馬場1丁目の看護師、松尾めぐみさん(34)も内村選手の美しい体操に魅了された一人。「世界トップを長く維持しているのはすごい。ますますファンになった」
 子どもたちも眠い目をこすり、応援に駆け付けた。同市西大村小4年の松川葵さん(9)は「何事も諦めずに頑張る姿を見習いたい」と刺激を受けた様子。11日が誕生日という諫早市立明峰中3年の並松玄太さん(15)は「鉄棒はひねりの角度も完璧で勝てると信じていた。最高のプレゼントをもらった気持ち」と喜んだ。
(平成28年8月12日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

内村選手の連覇が決まった瞬間、万歳をする父和久さん(中央)と、歓喜の声を上げる市民=11日午前6時39分、諫早市小船越町、市中央体育館