三重高・中村総監督が退任へ 14年夏の甲子園で準V、春から愛知啓成監督に

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 2014年夏の全国高校野球選手権で準優勝した三重高校(松阪市)の中村好治・前監督=現総監督=が本年度限りで退任する。春から愛知啓成高校(愛知県稲沢市)の監督に就任し、センバツ出場の経験もある実力校の再建に挑む。

 モットーは「目標は甲子園、目的は人を育てること」。65歳で再び指導の最前線に立つことにも「不安はない。子どもたちが成長し、変わっていく姿を楽しみにしたい」と話している。

 愛知啓成から監督就任を要請されたのは昨年暮れ。2006年春に創部5年目でセンバツ初出場を果たした同高は、昨年秋に発覚した暴力的な指導で当時の監督らが長期の謹慎処分を受け、指導陣の立て直しに迫られていた。

 外部コーチの協力で何とか練習を続ける同高の現状を知人から聞いていたこともあって、各地の高校からオファーを受ける中で「一番困っている学校だと思った」と愛知啓成の依頼を受けることにしたという。

 39歳で現役を引退した後、各地で指導者生活を送ったが、三重で過ごした13年間が現在の野球観を培ったと語る。三重中京大時代はコーチ、監督として全日本大学野球選手権、明治神宮野球大会に出場。同大の閉校後は系列校の三重高の指導に携わり、14年春から監督、17年秋から総監督を務めてきた。

 宮崎・日章学園高を甲子園に導いた2000年代は攻撃に力点を置いた指導だったが、三重中京大の指導に関わる中で意識が変わったという。「大学では守備力や足のある選手の方が試合に早く出やすい。その子にあった特徴を伸ばすことが必要」と気付かされた。

 「勝てなかった時の子どもたちの方が印象に残っている」とも。大学時代レギュラー外だった教え子が社会人として活躍する姿を見て「結果が出せなくても一生懸命最後までやり通すことが次につながる。負けても残るものはある」と実感できたという。

 環境が変わっても「やることに変わりはない」。ノックから選手との関係性を築き、それぞれの特徴を生かした指導を目指す。むろん「来たチャンスは絶対ものにする」。「心を少し変えるだけで子どもたちはむちゃくちゃ伸びる。2014年夏の三重高の選手たちも同じ。子どもと同じ目線で指導を続け、その瞬間を逃さないようにしてほしい」と、三重の指導者たちにもエールを贈る。 

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 なかむら・よしはる 大阪府出身。内野手として浪商学園高、専修大学を経て、鐘淵化学、神戸製鋼で39歳までプレー。その後指導者に転身し2002年夏、宮崎・日章学園高を率いて甲子園出場。06年から三重中京大のコーチ、11年から監督を務めて則本昂大(楽天)らを育てた。13年の閉校後、三重高のコーチ、14年春から監督を務め、17年秋に総監督に就任した。

【三重高総監督の中村好治さん】