SBK開幕戦オーストラリアはドゥカティのバウティスタが完全制覇。追随許さぬ大量リードでレース2制す

 スーパーバイク世界選手権(SBK)の開幕戦スーパーポール・レースとレース2がオーストラリアのフィリップ・アイランド・サーキットで2月24日、開催された。アルバロ・バウティスタ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)がレース1に続き、スーパーポール・レースとレース2で優勝。今週末3勝を挙げ、開幕戦はバウティスタの独壇場となった。

■スーパーポール・レース、バウティスタがレイを下してトップでチェッカー

 2019年から新たに導入されたスーパーポール・レースは、土曜日に行われた全車出走による計時予選、“スーパーポール”でグリッドが決定。周回数10周のスプリントレースとして行われる。優勝ライダーから9位のライダーまで順にレース1、2よりも少ないポイント(優勝ライダーに12ポイント、以降9、7、6、5、4、3、2、1)が付与され、さらに優勝から9位までの結果が、そのまま午後に行われるレース2のグリッド順となる仕組みだ。

 気温26度、路面温度21度のドライコンディションのもと、初開催となるスーパーポール・レースが始まった。好スタートからホールショットを奪ったのは、ポールポジションスタートのジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)。しかし、レース1ウイナーのバウティスタがレイをやすやすと逃さない。

 バウティスタはレイの背後にぴたりとつけると、3周目に差しかかるホームストレートでレイに並びかけ、1コーナー飛び込みでオーバーテイク。バウティスタがトップ、2番手レイ、3番手には7番グリッドから浮上してきたマイケル・ファン・デル・マーク(パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム)という順で3周目を終える。

 バウティスタは3周目でファステストラップを叩き出したが、レイはレース1のような独走をバウティスタに許さない。4周目の4コーナーでバウティスタのインを奪ってトップを奪還。レイとバウティスタによるテール・トゥ・ノーズの激しい戦いが続く。

スーパーポール・レースで激しいトップ争いを演じたバウティスタとレイ

 レース折り返しの5周目を終えて、トップのレイと2番手のバウティスタとの差はわずか0.029秒。一瞬でもレイが隙を見せればバウティスタにとらえられるだろうわずかなアドバンテージだ。6周目の2コーナーでバウティスタが再びレイを交わすと、トップに立つ。

 激しさを増すトップ争いの後方、3番手には2番グリッドスタートのレオン・ハスラム(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)が浮上。ハスラムはスタートから一時ポジションを落としたが、表彰台圏内に順位を戻した。4番手にはアレックス・ロウズ(パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム)、5番手にはファン・デル・マークのヤマハ勢が続く。

 残り3周で、先頭はバウティスタ、2番手はレイ。その差は0.348秒。レイは8周目で1分30秒075をマークしてファステストラップを更新。バウティスタを追うが、じわじわとほんの少しずつ、その差は開いていった。

 バウティスタはそのままトップを守り切り、トップでチェッカー。レース1に続いてスプリントレースのスーパーポール・レースをも制し、2勝目を挙げた。2位はバウティスタと一騎打ちを演じたレイで、速さと強さを見せながらも、バウティスタに一歩及ばなかった。

 3位にはハスラムが入り、4位にはロウズ、5位にはファン・デル・マークとヤマハファクトリー勢が続いている。

 モリワキ-アルティア・ホンダ・チームの清成龍一は17番手スタートからポジションを上げ、14位でフィニッシュした。

 この結果により、レース2のポールポジションから9番手までのグリッドが決定。ポールポジションはバウティスタ、2番手にレイ、3番手はハスラムのフロントロウ。4番手がロウズで5番手がファン・デル・マーク、6番手がメランドリでここまでが2列目だ。

 3列目には7番手サンドロ・コルテセ(GRTヤマハ・ワールドSBK)、8番手マイケル・ルーベン・リナルディ(バーニーレーシングチーム)、9番手ユージン・ラバティ(チーム・ゴーイレブン)が並んだ。10番手以降は土曜日に行われたスーパーポールの結果に準じたものになっている。

10周のスプリントレース、スーパーポール・レースでも速さを見せたバウティスタ

■レース2、バウティスタが12秒のリードで独走優勝

 迎えたレース2は気温28度、路面温度45度のドライコンディションのもと、22周の周回数で行われた。

 スタートから飛び出したのはレース1、スーパーポール・レースで2勝を挙げているバウティスタ。バウティスタはポールポジションからホールショットを奪うと、一気に2番手のハスラム以下を引き離しにかかる。

 2番グリッドからスタートしたレイは、ハスラムに交わされて3番手に後退。バウティスタ、ハスラム、レイが等間隔となり、レイの後ろには4番手のファン・デル・マーク、5番手のメランドリが迫るという状況。メランドリは4周目にファン・デル・マークを交わすと4番手に浮上。3番手のレイを追う。

 その間にもトップを走るバウティスタは1分30秒台で周回を重ね、6周目を終えるころには2番手のハスラムに対して、早くも約4.5秒のアドバンテージを築いていた。

 バウティスタはその後もペースを維持。レース折り返しの11周目を終えて2番手のハスラムとの差は約9秒に広がった。レース1では約15秒のアドバンテージをもってチェッカーを受けたバウティスタ。レース2でも独走状態を築く。

バウティスタが独走態勢を築く一方、レイとハスラムによる2番手争いは激化

 その後方では7番手争いが激しさを増していた。バウティスタのチームメイトであるチャズ・デイビス(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)とトプラク・ラズガットリオグル(ターキッシュ・プセッティレーシング)、コルテセの3人がワンパックとなってポジションを奪い会う。

 上位陣は独走を続けるバウティスタを先頭に、ハスラム、レイ、メランドリの順でレースを続けていたが、残り8周でレイが動いた。

 ホームストレートでハスラムの背後に迫ると、1コーナーでハスラムのインに飛び込みオーバーテイク。2番手に浮上する。しかしハスラムも負けじと4コーナーでポジションを奪い返し、再び2番手ハスラム、3番手レイという状況。そのふたりをメランドリがすぐ後方から追う。

 レイはその翌周の3コーナーで再びハスラムを交わすが、残り5周の1コーナーではハスラムがレイをオーバーテイク。カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBKのチームメイトふたりが2番手をめぐって激しい戦いを展開する。

 レイとハスラムはその後も何度もポジションを入れ替え、チェッカーを目指す。その後ろではファン・デル・マークが4番手のメランドリに追い付き、オーバーテイク。メランドリはすぐにポジションを奪い返したが、レイとハスラムとの差が開くことになった。

 迎えた最終ラップ、2番手で1コーナーに飛び込んだのはレイ、3番手ハスラム。レイとハスラムとの差は少し開き、ハスラムが勝負を仕掛けるにはやや厳しい状況となった。

 そんな終盤の攻防を後方に、独走状態を築いたバウティスタはトップでチェッカー。21周終了時点では2番手との差約18秒、最後はペースをコントロールしたか、チェッカー時点では12秒という完全勝利だった。バウティスタはレース1、スーパーポール・レースに続き今週末で3勝目を挙げ、SBKデビュー戦にして開幕戦を制した。

 2位はハスラムとの争いを制したレイ、ハスラムが3位表彰台を獲得。カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBKが表彰台の2席を占めた。

バウティスタは開幕戦レース1、スーパーポール・レース、レース2すべてで優勝した

 4位にはファン・デル・マーク、5位にはロウズが続き、終盤まで4番手につけていたメランドリは6位でチェッカーを受けている。また、日本人ライダーの清成は17番グリッドからスタートし、15位でチェッカー。1ポイントを獲得した。

開幕戦オーストラリアのレース2でポイント圏内フィニッシュを果たした清成

 また、この日はスーパースポーツ世界選手権(WSS)の決勝レースが行われた。WSSでは、2018年に引き続きヤマハ勢が好調。ランディ・クルメナヒャー(BARDAHL Evan Bros. WorldSSP Team Y)が優勝。ジュール・クルゼール(GMT94 YAMAHA)が2位、フェデリコ・カリカスロ(BARDAHL Evan Bros. WorldSSP Team Y)が3位と、ヤマハが表彰台を独占した。

 WSS参戦4年目を迎える日本人ライダーの大久保光(Kawasaki Puccetti Racing)は8番グリッドからポジションを上げ、6位フィニッシュを果たしている。

 SBKは3月15~17日、タイのチャン・インターナショナル・サーキットで第2戦を迎える。

 以下、SBK第1戦オーストラリア スーパーポール・レース、レース2の順位結果。

■SBK第1戦オーストラリア スーパーポール・レース順位結果

Pos. No. Rider Team/Machine Time/Gap

1 19 A.バウティスタ Aruba.it レーシング-ドゥカティ(ドゥカティ パニガーレV4 R) 15’11.323

2 1 J.レイ カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK(カワサキZX-10RR) 1.176

3 91 L.ハスラム カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK(カワサキZX-10RR) 5.072

4 22 A.ロウズ パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム(ヤマハYZF-R1) 6.713

5 60 M.ファン・デル・マーク パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム(ヤマハYZF-R1) 6.800

6 33 M.メランドリ GRTヤマハ・ワールドSBK(ヤマハYZF-R1) 7.904

7 11 S.コルテセ GRTヤマハ・ワールドSBK(ヤマハYZF-R1) 8.224

8 21 M.ルーベン・リナルディ バーニーレーシングチーム(ドゥカティ パニガーレV4 R) 10.944

9 50 E.ラバティ チーム・ゴーイレブン(ドゥカティパニガーレV4 R) 12.416

10 7 C.デイビス Aruba.it レーシング-ドゥカティ(ドゥカティ パニガーレV4 R) 14.068

11 66 T.サイクス BMWモトラッド・ワールドSBKチーム(BMW S1000RR) 14.710

12 28 M.ライターベルガー BMWモトラッド・ワールドSBKチーム(BMW S1000RR) 16.994

13 2 L.キャミア モリワキ-アルティア・ホンダ・チーム(ホンダCBR1000RR) 20.012

14 23 清成龍一 モリワキ-アルティア・ホンダ・チーム(ホンダCBR1000RR) 24.013

15 54 T.ラズガットリオグル ターキッシュ・プセッティレーシング(カワサキZX-10RR) 36.851

16 17 T.ヘルフォス ペンライト・ホンダ・レーシング(ホンダCBR1000RR) 48.731

17 81 J.トーレス チーム・ペデルチーニ・レーシング(カワサキZX-10RR) 58.942

RET 36 L.メルカド オレラック・レーシングVerdNatura(カワサキZX-10RR) 1 Lap(リタイア)

RET 52 A.デルビアンコ アルティア・ミエ・レーシングチーム(ホンダCBR1000RR) 9 Laps(リタイア)

■SBK第1戦オーストラリア レース2順位結果

Pos. No. Rider Team/Machine Time/Gap

1 19 A.バウティスタ Aruba.it レーシング-ドゥカティ(ドゥカティ パニガーレV4 R) 33’38.114

2 1 J.レイ カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK(カワサキZX-10RR) 12.195

3 91 L.ハスラム カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK(カワサキZX-10RR) 12.454

4 60 M.ファン・デル・マーク パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム(ヤマハYZF-R1) 16.574

5 22 A.ロウズ パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム(ヤマハYZF-R1) 16.859

6 33 M.メランドリ GRTヤマハ・ワールドSBK(ヤマハYZF-R1) 17.329

7 7 C.デイビス Aruba.it レーシング-ドゥカティ(ドゥカティ パニガーレV4 R) 26.823

8 11 S.コルテセ GRTヤマハ・ワールドSBK(ヤマハYZF-R1) 27.580

9 50 E.ラバティ チーム・ゴーイレブン(ドゥカティパニガーレV4 R) 29.116

10 2 L.キャミア モリワキ-アルティア・ホンダ・チーム(ホンダCBR1000RR) 29.178

11 36 L.メルカド オレラック・レーシングVerdNatura(カワサキZX-10RR) 29.460

12 28 M.ライターベルガー BMWモトラッド・ワールドSBKチーム(BMW S1000RR) 29.896

13 66 T.サイクス BMWモトラッド・ワールドSBKチーム(BMW S1000RR) 31.231

14 81 J.トーレス チーム・ペデルチーニ・レーシング(カワサキZX-10RR) 40.926

15 23 清成龍一 モリワキ-アルティア・ホンダ・チーム(ホンダCBR1000RR) 41.616

16 21 M.ルーベン・リナルディ バーニーレーシングチーム(ドゥカティ パニガーレV4 R) 1 Lap

RET 54 T.ラズガットリオグル ターキッシュ・プセッティレーシング(カワサキZX-10RR) 5 Laps(リタイア)

RET 17 T.ヘルフォス ペンライト・ホンダ・レーシング(ホンダCBR1000RR) 17 Laps(リタイア)

RET 52 A.デルビアンコ アルティア・ミエ・レーシングチーム(ホンダCBR1000RR) (1周できず)

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