巨人菅野、ハム金子を抜き現役1位浮上も…今季達成が予想される記録【完封数編】

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巨人・菅野智之【写真:Getty Images】

歴代1位はスタルヒンの83完封、トップ10の投手は全員が200勝&殿堂入り

「完封」は、厳密には「完封勝」である。先発投手が1人で試合を投げ切り、相手に得点を許さず、しかも「勝利」する必要がある。零封しても9回で降板したり、スコアレスドローになって勝利がつかない場合は「完封」にはならない。

◯NPB通算完封数10傑 ()は実働期間

1 V・スタルヒン 83完封(1936-1955)
2 金田正一 82完封(1950-1969)
3 小山正明 74完封(1953-1973)
4 別所毅彦 72完封(1942-1961)
5 鈴木啓示 71完封(1966-1985)
6 野口二郎 65完封(1939-1953)
7 米田哲也 64完封(1956-1977)
8 藤本英雄 63完封(1942-1955)
9 若林忠志 57完封(1936-1953)
10 村山実 55完封(1959-1972)

 最多完投は金田正一だが、最多完封は完投数2位のスタルヒン。完投数が多い投手が上位には来ているが、「試合を作る」タイプの投手よりも、「傑出した投球を見せる」タイプの投手のほうが完封数は多い傾向にある。10傑の投手はすべて200勝以上を上げ、野球殿堂入りしている。

現代野球としては異例の記録を達成した菅野、今季はハム金子を抜く可能性も…

◯現役完封数10傑

1 金子弌大(日)21完封(2006-2018)
2 松坂大輔(中)18完封(1999-2018)
3 岸孝之(楽)16完封(2007-2018)
3 菅野智之(巨)16完封(2013-2018)
5 吉見一起(中)13完封(2006-2018)
6 成瀬善久(オ)12完封(2006-2017)
6 内海哲也(西)12完封(2004-2018)
8 館山昌平(ヤ)11完封(2003-2018)
8 涌井秀章(ロ)11完封(2005-2018)
8 則本昂大(楽)11完封(2013-2018)

 現役完封数1位は、今季から日ハムの金子。21完封はNPB通算では66位タイに当たる。完投同様、完封も昭和と戦前では数字が大きく異なっている。ローテーションの確立で、先発投手のシーズン登板数が少なくなっているうえに、先発・救援の分業が進み、好投していても完投するケースが少なくなっているからだ。

 また、エース級の投手が全盛期でMLBに移籍していることも大きい。ダルビッシュ有と田中将大は、ともにNPBで18完封。NPBに残留していれば、この数字をさらに伸ばしたはずだ。ちなみに、投手の分業がさらに進んでいるMLBでは完封はさらに少なく、ダルビッシュは7シーズンで1完封、田中は5シーズンで3完封だ。

 しかし、昨年のNPBでこうした傾向に逆行するような記録が生まれた。巨人の菅野がシーズン8完封を記録したのだ。NPBのシーズン完封記録は、1942年大洋の野口二郎と、1943年巨人の藤本英雄の19完封だが、平成以降では1989年巨人の斎藤雅樹の7完封が最多だった。菅野はこの記録を29年ぶりに上回った。シーズン8完封は1978年近鉄の鈴木啓示以来、40年ぶり。昨年の菅野は、これに加えてクライマックス・シリーズのファーストステージでヤクルトを相手にノーヒットノーランを記録している。

 菅野が今年も同じペースで完封記録を積み上げれば、今季中にも現役1位になる可能性がある。しかし、菅野が完封数を増やしたのは、巨人の救援陣が弱体だったことも大きい。昨年、菅野はシーズン投球数が初めて3000球を超え、投球回も200回を超えた。その影響が今季、出ないか、気がかりではある。(広尾晃 / Koh Hiroo)