「指導死」について講演 息子亡くした安達さん 「閉ざされた学校に外部の目を」

 市民団体主催の「第3回子どもの権利フォーラム」が24日、長崎市内であり、「指導死」親の会共同代表の安達和美さんが、教員の行きすぎた指導をきっかけに子どもが自殺に追い込まれる「指導死」について講演。「子どもを追い詰めるものは何か。教師は子どもの立場で考えてほしい」と訴えた。
 安達さんは2004年3月、同市立中2年だった息子の雄大さん=当時(14)=を亡くした。雄大さんは学校でたばこの所持が見つかり、担任の指導を受けた直後、校舎から飛び降り自殺。遺族は「不適切な指導が原因」として市を提訴したが、長崎地裁は08年6月、指導と自殺の事実的因果関係を認めたものの、自殺は予見不可能などとして請求を棄却した。
 安達さんは、雄大さんの人柄や「指導死」に至った経緯を説明し、「学校が安全だと思いすぎていた。でも、実際にはそこで命が失われたり、事故に遭う子どもたちがいることも知ってもらいたい」と指摘。
 多くの「指導死」に共通する傾向として、教員側が子どもを追い詰めた自覚がなかったと説明。「生徒指導とは子どもに罰を与えることなのか。それが本当に子どものためになるのか考えてほしい。力のある者が弱い者を追い詰めるのは、パワハラや虐待と同じ。閉ざされた学校にもっと外部の目を入れる必要がある」と述べた。
 フォーラムは「子どもの権利条約ながさきネット」が主催。市民ら約30人が参加した。

「指導死」について講演する安達さん=長崎市魚の町、市民会館

 


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